国産対艦番長・F-2

国産対艦番長・F-2

F-2

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F-1支援戦闘機の後継機として開発された国産戦闘機です。

繋がりの深い米軍F-16の愛称「バイパー」と運用開始が「2000年」から「ゼロ」を合わして、「バイパーゼロ」という愛称もあります(但し非公式な上にほとんど定着していない)

タイプは単座のA型と訓練用複座のB型、2種類です。


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F-2とは

航空自衛隊の重要な任務として、空対空戦闘、即ち領空を守るために侵攻する航空機を撃破することに加え、敵艦船に対する空対艦攻撃があります。

この対艦攻撃を担う機種としてT-2高等練習機を改良した三菱F-1支援戦闘機が長年活躍していましたが、昭和末期の頃には既に寿命が見え始め、後継機の選定を行う必要が生まれます。

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三沢基地のゲートガードとして展示されるF-1支援戦闘機

しかし、この際に
・空対空戦闘能力をどれくらい持たせるか
・そもそも国産で全て開発できるのか
などなど、仕様選定は揉めるに揉めて、当時の日米国間の政治的御事情などもあり、最終的には「F-16をベースにした日米共同開発」という形で何とか着地します。

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構図の近い写真で見比べてみると、やはり非常に似た外見をしていますが、大きな違いとして言えるのは「主翼」です。

主翼はF-2の方が7平方メートルほど面積が大きい他、前縁後退角度はF-16よりも緩くなり、またF-16で機体と直角だった後縁には若干角度が付いています。

また若干胴体が長かったり、キャノピーが風防と天蓋で分割式になっていたりと、外見でも意外と違いがあります。

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ちなみにF-2で分割式が採用されたのは、低空飛行を行う頻度が多いため、異物接触やバードストライクを懸念して強度を確保するためと言われています。
(同様の理由でT-4のブルーインパルス仕様機が、風防の強度アップなどの改良を受けています)

他にはF-16には無い、ドラッグシュートも装備されていたりします。

しかし、やはりベース機であるF-16から譲り受けた部分も多く、海外からはF-16の派生型という見方もあるようです。

 

F-2のここが魅力

F-15と比較すると、およそ3/4のサイズながら対空・対艦・対地何でもこなす万能戦闘機です。

空対艦攻撃の際には対艦ミサイル4発と自衛用空対空ミサイルを装備。

この空対艦ミサイル4発装備というのはF-2の大きな特徴のひとつです。
対艦攻撃能力を備えた戦闘機は他にも存在しますが、重量の大きな対艦ミサイルは2発装備となっていることが多く、4発装備というのは非常に珍しい仕様です。

これは言わずもがな、日本が敵侵攻の洋上阻止に重きを置いている事、また保有機体数が少ないことから、1機当たりに求められる役割が大きいということが関係していると言われます。

また、航空支援攻撃の際には500lb爆弾を最大4発+空対空ミサイル装備で出撃する事が可能です。

対地・対艦装備も含めれば、自衛隊の機体で最も多種多様な装備を搭載できる、まさにマルチロールファイターです。

航空祭の展示でも対地攻撃のデモを披露したり豪快な機動飛行を展示したりと見所が満載。

(映画「シン・ゴジラ」でも爆撃に出動していましたね)

そして、独特のカラーリングは「洋上迷彩」。海の上を飛行してる時に、発見されにくい塗装です。

何処に行けば見れるの?

F-15と比べると、配備基地は若干少ないです。

青森県・三沢基地(三沢空港隣接)

第3航空団 第3飛行隊が所属しています。

ちなみに、この第3飛行隊、現在の航空自衛隊に所属する戦闘機隊の中では最も長く活躍している隊です。

DSC_4995(第3飛行隊創設60周年記念塗装機)

宮城県・松島基地

ブルーインパルスのホームとして有名な基地ですがF-2の操縦者教育を行う第21飛行隊も在籍しています。

東日本大震災では、所属機の多数を失いましたが懸命の復旧作業で元の姿に戻りつつあります。

岐阜県・岐阜基地

飛行開発実験団が在籍しています。白やオレンジ・ブルーでカラーリングされた

実験機使用のF-2は、ここでしか見れません。

福岡県・築城基地

第8航空団 第6飛行隊と第8飛行隊が所属。

以前は第8飛行隊が三沢基地に所属していたのでF-2といえば三沢基地、だったのですが2016年に築城基地へ異動となりました。

DSC_9892(第8飛行隊所属機)

ギャラリー

機体の構造から「ヴェイパー」と呼ばれる機体の周りに雲のようなものが出来る現象が起こりやすく、非常に画になる戦闘機です。

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