先日、新たに進水式を迎えた護衛艦DDG-180が「はぐろ」と命名されました。

旧海軍の重巡洋艦「羽黒」と同じく、山形県の羽黒山にちなむ名前です。

新たな艦艇が生まれる度に、その名前の予想が盛り上がりますが、実は過去には「こんなのあったの?」というような艦名も存在します。

今回はそんな今では聞かなくなった船の名前を紹介していきます。

花の名前
ゆり型警備船

警備隊(海上自衛隊)の創設間もない頃に、アメリカ海軍のLSSL水陸両用戦用の上陸支援艦艇を貸与された際に付けられた名前が『ゆり型』です。

ネームシップのLSSL-401『ゆり』を筆頭に、全53隻には全て花の名前が付けられており、LSSL-406『ばら』やLSSL-423『ひまわり』など、身近でよく聞く名前の花の名を冠した船も多くありました。

ゆり型は後に警備船から警備艇に種別変更、昭和30年代にはアメリカ海軍への返却が始まりましたが、約半数は海上自衛隊が引き取り支援船や練習船として長きに亘り活躍。

最後の1隻が引退したのは昭和51年3月、LSSL-415から特務船のYAS-35として活躍した『はまぎく』です。

樹木の名前
くす型警備船

ゆり型と同じく、創設当初の警備隊(海上自衛隊)艦艇としてアメリカから供与されたのがタコマ級パトロールフリゲイト。
こちらはPF-39『オグデン』改めPF-281『くす』を筆頭として全18隻に、樹木の名前が付けられています。

中にはPF-289『うめ』(元アレンタウン)PF-290『さくら』(元カーソンシティ)といった日本人に馴染みの深い樹木の名前も。
旧海軍で『松型駆逐艦』で使用された名前も多くあります。

くす型の最後の1隻は8番艦の『かや』が昭和52年の4月に退役しました。

実は最初は鳥の名前も
掃海艇

現在の海上自衛隊では掃海艇には島の名前が付与されていますが、実は海上自衛隊創設期まで遡ると鳥の名前を冠していた掃海艇がありました。

MS-01(後にMSI-695)『ちよづる』をネームシップとした『ちよづる型』です。

この『ちよづる型』、中々に数奇な運命を辿っている船でもあります。

ちよづる型として使用された船、実は旧海軍の艦艇なのです。
ネームシップの『ちよづる』を遡ると、元は第一号型駆潜特務艇の第171号という船になります。
その後、この第171号という船は戦後間もない時期の海上保安庁で掃海艇として活躍、後に警備隊(海上自衛隊)へと掃海任務が移管された際に船も引き渡され『ちよづる』となりました。

その他の『ちよづる型』も同様に旧海軍から海上保安庁、そして警備隊という流れを辿っています。

最後に残ったのは第一号型駆潜特務艇・第99号として生まれ、最後はYAS-23特務雑船として活躍した『いわつばめ』でした。

なお先ほども述べた通り、掃海艇は後に島の名前を冠することになり、鳥の名前は『かもめ』などの駆潜艇へと引き継がれ、現在ではミサイル艇『はやぶさ』へとその名を残し続けています。

樹木や花の名前
再び使われることはある?

鳥の名前は『はやぶさ型』として使われていますが、現在樹木や花の名前を冠した艦艇は海上自衛隊に1隻も存在しません。

ただし、2019年現在も哨戒艦艇・ミサイル艇の命名基準に樹木や花の名前が明記されており、自衛隊の艦艇に名付けることは可能です。

ただし今後、計画されている艦の中でこれに該当しうるのは『哨戒艦』のみであり、哨戒艦の名称に引き継がれない場合は、またしばらくの間この名を引き継ぐ艦艇は現れないことになるでしょう。

※参考資料

  • 海上自衛隊HP
  • 海上自衛隊全艦艇史
    (世界の艦船11月号増刊)