平成29年度防衛予算5.1兆円成立・内訳解説
3月27日の国会にて、平成29年度政府予算案が承認されました。
このうち防衛に関わる予算は5兆1251億円と、昨年度より更に1千億円ほど増えています。
報道内容と、防衛省のHPで公開されている予算概要の金額が一致することから、内容はほぼそのままだと思われるので、今回は防衛省の資料より約5.1兆円の内訳について解説していきたいと思います。
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陸海空の内訳は
まず気になるところとしては、陸海空それぞれ予算の配分は如何ほどかというところかと思います。
陸上自衛隊→1兆7706億円
海上自衛隊→1兆1548億円
航空自衛隊→1兆1578億円
陸自だけが頭1つ飛びぬけていますが、これは他ならぬ「人件費」が占めるウェイトが海空に比べて桁違いに大きいためです。
5.1兆円の半分近くは「人件費」
実は約5.1兆円の予算のうち、2.16兆円は「人件費」に費やされています。
ここでいう人件費とは給料・退職金などの人件費に関わる部分のみならず、営内生活者の食費(糧食)に関わる費用なども含まれます。
定数で約4.5万人の海上自衛隊、約4.7万人の航空自衛隊に比べ、陸上自衛隊の定員数は即応予備自衛官を除いても15万人を超える大所帯です。
(実際は定数よりも1割程度少ない人員数となっていますが)
故に、陸上自衛隊の予算は海や空と比べても、どうしても頭1つ飛びぬけた金額になってしまいます。
ちなみに警察・消防は、その大半が地方公務員(一部、中央採用除く)であるのに対して、自衛官はほぼ例外なく国家公務員です。
(任期制の2士でも扱い上は国家公務員)
なので、自衛官の人件費は全て国家予算から支出されることになります。
意外と高い「維持費」
防衛予算で、人件費ほどではないにせよ大きなウェイトを占めるのが物品のメンテナンスなどに必要な「維持費」です。
活動経費(年度中に契約して、その年度内に払う金額)と歳出化経費(年度跨ぎで支払われる金額)を合わせると、金額は8243億円。
装備品の購入費(航空機調達・艦船建造費を含む)に関わる費用が約8400億円となっていますので、新たに購入するのと、ほぼ同じだけの金額を「維持・修理」の為に使っていることが分かります。
一度調達したものは、お金を掛けないと動かし続けることは出来ないのです。
よって人件費と既存の維持費だけで3兆円ほど使っている計算になります。
部隊の現状を維持するというだけで莫大な費用が掛かるのです。
その他 大きな調達品
事務的なお話が多くなってしまいましたが、やはり気になるのは装備品に関する調達だと思います。
先ほども書いたとおり、29年度予算では8400億円相当の調達費用が計上されています。
その中でも、特に大きな部分をピックアップして解説していきます。
航空機編
・F-35A戦闘機
調達予定数量6機 880億円
三沢基地に新設させるF-35A臨時飛行隊の定数充足用として、28年度予算に続いて6機の調達が予定されています。
・V-22オスプレイ
調達予定数量4機 391億円
・グローバルホーク偵察機
調達1機 168億円
・飛行点検隊 新型機
飛行点検隊のYS-11FCを入れ替える目的で、セスナ社サイテーションが2機95億円で計上されています。
写真は現役機のYS-11FC この後継機が29年度予算にて計上
この他、新型空中給油機(KC-46)や、C-2輸送機3機の調達なども予定されています。
艦船編
・新型潜水艦(29SS 3000トン級)
1隻 728億円。
そうりゅう型は28年度計画艦で調達を終了して、29年度予算からは次期3000トン級の潜水艦が調達開始となります。
1隻目の29SSは平成32年頃に進水予定です。
この他、艦船では音響測定艦が平成4年就役の「はりま」から25年ぶりに予算計上されて、ひびき型3番艦が平成30年ごろに進水予定です。
火砲・車両編
・16式機動戦闘車
16式機動戦闘車は33両が233億円の予算で計上。
・10式戦車
機動戦闘車と併行して、10式戦車の調達も引き続き継続されます。
29年度予算では6両 75億円です。
・水陸両用車 AAV-7
水陸機動団新設に向けた、AAV-7の調達も昨年度と同様のペースで継続される模様です。
33両が233億円で計上されています
この他、挙げていくとキリがないのですが、防衛省の予算概要を見ることで、こんなものが追加される、こんな動きがあるというのを知ることが出来ます。
役所は「予算」が決まらないことには身動き取れないですからね。
興味のある方は、ぜひ此方を
縮小論が叫ばれる陸上自衛隊関係の装備調達には注意を要することです。
これだけの駐屯地や装備に予算を投入したので、縮小するのはもったいないという本末転倒な意見が幅を効かせかねません。
組織存続のための不用な税金のぶんどりになりかねません。
第一線で常に任務に就く海上自衛隊や航空自衛隊、海上保安庁など国境警備の第一線、あるいは原発警備や都市部テロ対策も含む国内治安維持に適材適所に配備すふことです。
本来、福島原発事故以降、迅速に改革に着手すべきことだったと思っています。
広瀬勝郎様
コメントありがとうございます。
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