懐かしい旅客機の音が聞ける?往年のエンジンを積んだ自衛隊機。

懐かしい旅客機の音が聞ける?往年のエンジンを積んだ自衛隊機。

飛行機のエンジンが奏でる音、同じタイプのエンジンでもその音は個々に特徴があります。

太く重い音、甲高い音。
初めて乗った時、デッキで大事な人を見送った時。そんな音が記憶に残ってる方もいるのではないでしょうか。

旅客機としては旧式となり日本の空から消えた音も、実は自衛隊機として未だ健在というものがあります。

今回は、そんな往年のエンジン音を今も響かせる自衛隊機達の紹介です。


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今や1機だけ
ダートエンジン

戦後初の国産旅客機として誕生したYS-11

約180機が製造されて日本各地の航空輸送を担いましたが、2006年9月のラストフライトを以って民間航路からは姿を消しました。

YS-11に搭載されたエンジンはロールス・ロイス ダートというターブプロップエンジンで、独特な金属質の甲高い音が特徴的です。
この独特の音は「ダートサウンド」とも呼ばれます。

このエンジンを積んだ機体としてはYS-11の他に、フォッカーF27を全日空が運用していましたが、此方も日本の空からが姿を消しました。

YS-11の民間航路からの引退後、海上保安庁の所有するYS-11や自衛隊機でも引退が進みましたが、2019年3月現在、特徴的なダートエンジンの音を奏でる機体が1機だけ存在しています。

飛行点検隊・フライトチェッカーの有するYS-11FC 151号機です。特に151号機は1965年に導入された、陸海空全ての自衛隊で最年長の航空機になります。

飛行点検隊の任務が全国各地の飛行場の点検ということもあり、今でも各地に姿を現していますが、残念ながら既に退役が確定している機体でもあります。

YS-11FCの後継機となるサイテーション680Aは2020年の3月までに自衛隊が受領することになっています。
毎年11月に開催される入間基地航空祭、2019年ではその姿を見れそうですが、2020年の秋、その姿があるかは分かりません。

727や737の初期型
JT8Dエンジン搭載
川崎C-1輸送機

ナローボディー機の代表格とも言えるボーイング727や737の初期型(-100や-200)、MD-81のエンジンとして活躍したプラットアンドホイットニー社PT8Dエンジン。
ターボジェットからより環境性能に優れたターボファンエンジンへと切り替わる時代において、傑作エンジンの1つとして知られます。

ボーイング727やMD-81は日本の空から引退、ボーイング737は飛んでいますが現在の主力である737-700や737-800は初期型の737とは最早別物と呼べる機体となっており、当然エンジンも換装されています。

ではJT8Dエンジンを積んでる機体は、もう日本に無いのか?

実は航空自衛隊の輸送機として未だ健在なのです。

川崎重工業製のC-1輸送機がそれで、JT8D-9エンジン、ボーイング737-100と-200と同型のエンジンを搭載しています。

ターボジェットよりも遥かにマシになったとはいえ、初期のターボファンエンジンは低バイパス型、ファンの気流よりも燃焼ガスの推力に頼る部分が大きく、その音は現在の旅客機とは比べ物にならないほどの迫力があります。

川崎C-1は現在、岐阜基地に所属しているC-1FTB(フライトテストベッド、銀色の塗装から愛称・銀ちゃん)を除いて、入間基地に集められていますが、当分の間は現役で日本の空を飛ぶ予定です。

※参考資料

  • 世界航空機年間 各号(せきれい社)
  • ANA HP 運航機材の歴史