戦後初の国産輸送機として生まれたYS-11。

民間航空会社や省庁(海上保安庁など)から退いた後も、航空自衛隊では現役機として運用しています。

元のYS-11は「ダートサウンド」と呼ばれるロールス・ロイスのダートエンジンを搭載しており、航空自衛隊機にもこのダートエンジン機は未だに残っています(YS-11FCの151号機と160号機)

しかし、この他にエンジンを積み替えた「スーパーYS」という機体も存在しています。

エンジンを積み替え今も日本の空を飛ぶスーパーYSを紹介していきます。

YS-11は非力な機体だった

戦後初の国産輸送機として生まれたYS-11ですが、そのエンジンは決して高性能とは言えませんでした。

ダートエンジンのYS-11搭載型は僅かに3060馬力。

馬力が低いエンジンは、高高度の巡航性能や改修の際の重量制限において大きなネックとなります。

これを受けて生まれたのが「スーパーYS」です。

エンジンはP-2Jから受け継いだ

スーパーYSに搭載されているエンジンは「T64-IHI-10E」を改造した「T64-IHI-10J」。

元の10E型はゼネラル・エレクトリック社製T64エンジンをIHI(石川島播磨重工業)がライセンスで生産したエンジンで、主に海上自衛隊の哨戒機や飛行艇などのターボプロップ機に使用されたエンジンです。

スーパーYSは、退役したP-2Jからエンジンを受け継ぐ形で改修されました。

元のエンジンはYS-11のダートと大差無い出力でしたが、これを改造して10J型とすることで、ダートの3060馬力から3493馬力に出力向上。

双発で合わせて900馬力近い出力を得る事が出来た事で、電子機器などの搭載に大きな余裕が生まれました。

画像上がスーパーYSのT-64エンジン、下がオリジナルのダートエンジン。

プロペラが3枚に変更されているだけでなく、インテークの形状など全く別物のエンジンになっていることがお分かり頂けるかと思います。

ちなみにT-64エンジンを積んだ機体はP-2JやUS-1飛行艇などがありましたが先日US-1A飛行艇の最後の1機が退役してしまいました。
これによりT-64エンジンの国内現役機はスーパーYSだけとなり、オリジナルのダートサウンドでなくても非常に貴重な存在となっています。

現在のスーパーYS

現在、スーパーYSは全て航空自衛隊・入間基地に配備されています。

YS-11EAとYS-11EBの2種類です。

YS-11EAは「電子戦訓練機」

自ら電波を放出して航空自衛隊の各部隊に対し電子戦訓練環境を提供する、訓練支援の役割を担います。言わば電子戦のアグレッサー=仮想敵役です。

YS-11EBは電子情報収集機(ELINT機)。

公開されている情報が多い自衛隊においても非常に謎が多い機体です。

ただし機上電波測定装置を搭載して、我が国周辺の電波情報収集を任務としていることは防衛省が正式に公表しています。

防衛省より、我が国周辺における電波情報収集能力を向上させるため、現行の電波情報収集機YS-11EBの後継機として、輸送機C-2に電波測定装置を搭載した次期電波情報収集機の開発を進めており…
(狭山市HPより抜粋)

C-2及び次期電波情報収集機の入間基地への配備
(狭山市HPへリンク)

簡単に言うと相手がどんなレーダーの電波を使っているか(周波数・出力など)、どのような周波数で通信しているか、こういった内容を実際に飛びまわって集める情報収集機です。

スーパーYSはいつまで見れそうか

先にも書いたとおり防衛省ではC-2輸送機をベースとする時期ELINT機の開発を進めていますが、先の資料によれば最初の機体が2019年度に実戦配備予定とのこと。

YS-11のうち4機がEB型に改造されたので、1年に1機ペースで調達するとして、早ければ2020年代前半には入れ替わるでしょうか。

ただ少なくとも既に後継機の予算が全て計上されて取得を待つだけとなっているフライトチェッカーのYS-11よりは長く日本の空を飛ぶことになりそうです。