一般に軍隊における「勝利」というと「敵兵を倒す」ことにスポットが当たりがちですが、これは正確には間違いです。

軍隊における勝利とは「当初望んだ目的を達成する事」であり、敵兵を倒すことはその手段の一つにすぎないのです。

今回は「目的・目標」の重要性について解説していきます。

目的と目標の違い

軍事の世界においては、目的がやや大まかな概念、目標は目的を達成する為にその「子」として描かれる、より具体的な計画などのことを指します。

ただし目的がしっかりと描かれているからこそ、それを達成する為に「目標」が生み出されるのは言うまでもありません。

目標は必ずしも
敵の殲滅ではない

敵兵を0にして、自軍に生存者がいれば確かに「勝利」には違いありませんが、ではそれが目的を達しているのか。

例えば以下のようなシチュエーションを考えてみます。

A中隊はX地点へ行軍中、敵軍と接触。遭遇戦に突入した。
敵の兵力は此方と同等か、または此方を若干上回っている。
A中隊・中隊長は司令部へ増援を求めたところ、2日以内に1個中隊が到達可能であるとの返答があった。

さて、この場合A中隊に与えられている、そもそもの目標は「X地点への移動」です。X地点にA中隊という兵力を送りこむことで、上級司令部の考えるより大局的な観点での「目的」を達成する1つのピースが埋まるわけです。
故にA中隊は無闇に犠牲者数を増やすわけにはいきません。

よって増援が来る事が分かっているのに、敵を殲滅して勝利しようというのは明らかに愚策です。

攻撃というのは必ずリスクが伴います。
攻撃すればするほど、自軍の兵力が損耗するリスクは避けられないのです。

この場合、A中隊は下手に攻撃するよりも増援の到着まで如何に上手く犠牲を出さずに防御戦闘を行うかが求められるでしょう。

反面、これが増援が見込めない状況だとすると、延々と時間を浪費するような作戦は人員や資材をひたすら消耗するだけです。
この場合、多少の犠牲を覚悟の上で何処かで攻勢を仕掛けて相手を退かせるか、逆に自軍が戦力の温存を最優先として撤退行動を取るか、何かしら決断しなければ部隊が全滅しかねません。

これはスポーツ、特にサッカーなどの球技でも言えるかと思います。

積極的に点を取りにいけば当然守備が手薄になり失点のリスクが増えます。
反面、守備を固めれば攻撃の機会は大きく減ります。

一口に試合に勝つといっても「積極的に攻めていくのか、守りを固めて少ないチャンスに賭けるのか」、指揮官である監督の描くプランは様々です。

 

戦いの9原則に「目標の原則」が入っているように、目標がしっかりと定まっていて、それに基づき行動することは組織としてのパフォーマンスを引き出す上で非常に重要なことなのです。