未視聴の方・ネタバレ注意

先日、地上波で放送された「シン・ゴジラ」。

筆者は劇場に4回は足を運んでブルーレイも買いましたが、やはり見てしまいました。

さて、あの作中で何かと話題になるシーン

「射撃の可否を問う」

の伝言リレー。

日本らしいと揶揄されることもありますが、武力行使という状況下においては極々自然な流れだと思うのです。

その辺を解説していきます。

伝言リレーの順番

あのシーン、そもそも誰が誰に指示を仰いでいるのかというと

品川に展開している現地のヘリコプター
→木更津駐屯地 第4対戦車ヘリコプター隊・隊長(貝塚二等陸佐)
→朝霞 東部方面総監部 統合任務部隊指揮官・東部方面総監(山岡陸将)
→市ヶ谷 防衛省 統合幕僚副長(矢島陸将)
→官邸 統合幕僚長(財前統合幕僚長)
(ここまでが自衛隊側の人間)
→防衛大臣
→総理大臣

なので現地→現地司令部→統合任務部隊司令部→防衛省→官邸
の順番になっています。

ちなみに、これでも「省略」されており、本来の指揮命令系統なら木更津と朝霞の間に東部方面航空隊長(一等陸佐)が入ります。

恐らくは統合任務部隊として、統合任務部隊指揮官の隷下に第4対戦車ヘリコプター隊の隊長を直で組み込んであるのかと。

あの時点で発砲許可を出せるのは官邸だけ

さて、例のシーンを見てみると内閣危機管理官の「住民の避難が完了しました」という報告を受けて統合幕僚長が「分かりました。大臣、いつでも射撃を開始出来ます」と防衛大臣へ進言しています。

つまり「住民の避難完了」が射撃開始の大前提なのです。

恐らくは作戦要綱として
「射撃により危害が生じる範囲がある地区の避難完了を以って射撃を開始する」
というのが現地指揮官まで徹底されていると思われます。
(OH-1が人影を見つけて速やかに射撃を中止させてる点から見ても、作戦の事前ミーティングでも徹底されていると思われる)

統合幕僚長及び防衛大臣のレベルで避難完了の確認を以って射撃開始を総理大臣へ進言している以上、それ以下の指揮官は誰一人として「その前提に反する状況=避難が完了しておらず民間人が残っている」ことを独自に判断することは出来ません。

また統合幕僚長は「避難完了」を前提として文民たる防衛大臣に射撃が出来ると伝えている以上、その前提が覆る事態が起きたのであれば、改めて指示を仰ぐ必要があります。

文民統制を絶対とする自衛隊は文民たる政府の許可を受けずに武力行使は行うことは許されないのです。

但し上の命令が絶対の軍事作戦ですが、幹部(士官)はそもそも「予定通りにいかなかった場合に、現地の状況に即した判断を下す」ための人材です。

仮にあの状況で

  • 状況が著しく変化して上の判断を仰ぐ余裕の無い場合
  • 緊急避難に該当する場合

のどちらかがあれば、発砲する可能性は無きにしもあらずでしょう。

痛飛行機弐