自衛隊の操縦資格保持者に課せられる年間の最低飛行時間、技量維持飛行
自衛隊のパイロットというのは基本的に尉官以上の幹部自衛官です。
そのため、パイロットになったら必ずしもずっと飛行機に乗っているというわけにもいかず、かなり短いサイクルで異動を繰り返します。
特に防衛大や幹部候補生採用からパイロットに進んだ方は、将来の上級幹部候補となるため、幕僚やら何やらと色々と異動していくのが常となっています。
しかし、またパイロットに戻ることも当然あるわけです。
その時、何年も操縦桿を握っていませんでしたとなれば、再訓練をするのは相当な手間となってしまいます。
何より自衛隊は有事に備えるための組織ですから、いざという時に「しばらく乗ってなかったのですぐに飛べません」とはいきません。
そのため、航空従事者に対しては1年間で最低限飛ぶべき飛行時間が定められています。
以下、航空従事者年間飛行規則よりデータを引用しています。
1年間の飛行時間が90時間を下回らないこと
(四半期毎に18時間以上飛行すること)
90時間のうち、夜間飛行で10時間以上飛行すること
(操縦士は半期毎に4時間以上の夜間飛行を行うこと)
計器飛行証明を持つ操縦士は90時間のうち15時間以上は計器飛行を行うこと
(但し、半期毎に計器飛行を7時間以上行うこと)
と、結構細かく決まっているのです。
ちなみに「操縦士は…」となっているのは、航空従事者というのが必ずしもパイロットに限るというわけではないためです。
上記の規則は「航空機に乗り込んで任務を行う航空士」に適用されます。
なので機上整備員なども、この対象となります。
年間飛行時間を満たせないとどうなる?
基本的に決められた年間飛行時間を正当な理由無く満たせない場合には、航空従事者としての技能証明を失うことになると定められています。
つまりライセンス剥奪です。
厳しいようですが、常に「備える」という役割を担う自衛隊において、その技量を維持できないというのは「任務を果たしていない」ということになるということかもしれません。
幹部自衛官として大忙しの合間を縫ってフライトも行わないとならないわけですから、本当に大変なお仕事だなと思います。
ちなみに、この年間飛行時間を満たすために飛行機を提供しているのが支援飛行隊(支援飛行班)です。
一部内容が重複しますが、詳細はこちらをどうぞ。
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