首都圏から恐らく最もアクセスが容易な航空自衛隊の基地の一つ、埼玉県入間基地。

C-1を用いる第2輸送航空隊、全国の飛行場で機能点検を行う飛行点検隊、航空救難団に属する入間ヘリコプター空輸隊、YS-11EA/EBやEC-1を使用する電子作戦群など、支援任務に付く部隊が多く在籍しています。

加えて、戦闘機部隊の連絡機やパイロット候補生の訓練に使うT-4が日常的に飛んでいるのは、皆さんご存知の通りかと思います。
けれど、入間には練習飛行隊は存在しないですし戦闘機部隊も在籍していません。

あのT-4、練習機でもなければ戦闘機部隊の連絡機でも無いのに何故いつも飛んでいるのか、気になったことはないでしょうか。

今回は、入間のT-4が行っている特殊な任務を解説していきます。

入間のT-4は司令部支援飛行隊の所属

入間基地で飛んでいるT-4ですが、所属は

中部航空方面隊隷下・司令部支援飛行隊

となっています。

T-4を扱う独立した飛行隊なのです。

ちなみに司令部支援飛行隊、または支援飛行班は他に北部が三沢、西部が春日、南西が那覇にそれぞれ所属しています。いずれも各航空方面隊の司令部機能が置かれた基地です。

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なお入間の司令部支援飛行隊だけ若干特殊で、多用途機U-4も配備されています。
(入間には402飛行隊のU-4も存在するが、支援飛行隊機はマークが違う)

幹部自衛官の移動手段などとして用いられているようです。

支援飛行隊・支援飛行班の任務

これら支援飛行隊等は、航空自衛隊の中でも「技量維持飛行」という少し変わった任務を与えられています。

自衛隊でウィングマークを取得した戦闘機パイロットは基本的に全員が尉官以上の「幹部自衛官」となります。諸外国でいうところの「士官」、即ち会社で言えば総合職・管理職に相当する人達です。

幹部自衛官、特に防大や幹部候補生コースから入った人達はパイロットであると同時に、将来的には司令官・高級幕僚といった職へと昇進する可能性のある立場です。
その為、2年に一度というかなり早いペースで人事異動を繰り返します。

この異動の中で、「飛行要員(操縦士)」以外の勤務に回ることも実は多々あるのです。

例えば2017年ブルーインパルスの1番機OR、飛行隊長を務める稲留二等空佐(TACネーム:DOM)は、ブルーに配属される前の所属は航空幕僚監部でした。
また2017年の1番機TR・福田二等空佐(TACネーム・TETSU)も、前所属は入間の司令部勤務です。

ブルーの隊長も幹部自衛官。前の所属は様々。

ブルーの隊長も幹部自衛官。前の所属は様々。

こういった操縦士以外の勤務を行っていると当然ですが空を飛ぶ機会は任務では回ってきません。しかし自衛隊の操縦士である以上、いつでも操縦士として現場に復帰出来るように最低限の技量を維持することが求められます。

このため、飛行要員以外の勤務をしている間も1年間に一定時間のフライトが義務付けられており、これを「技量維持飛行」または「年間飛行」などと呼んでいます。

この飛行のために存在するのが、各地の司令部支援飛行隊等なのです。
幹部自衛官は司令部勤務となることが多いので、必然的にその為の飛行隊も司令部機能を有する基地に置かれます。

入間のT-4も、この役目を担っており、入間基地の司令部で働く操縦資格保持者が、技量を維持するために飛んでいるのです。

実際に何時間くらい飛ばないといけないのかは

こちらを参照下さい。

また、入間所属機が百里基地に現れることも頻繁にあるので、幹部自衛官の移動手段としての役割も担っていると思われます。

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凄く偉い人が乗っていることも

入間基地では、毎年航空祭で、入間のT-4による飛行展示「シルバーインパルス」を結成していますが、ナレーションを聞いていると

「本日のパイロットは○○一等空佐・・・」

などと紹介されることがあります。

一般の飛行隊では、飛行隊長が二等空佐なので一等空佐以上が搭乗しているということは、ほぼありません。

しかし自衛官として操縦資格を保有している以上、どれだけ階級が高くなっても技量維持飛行は続けるので、司令部支援飛行隊等の飛行においては一般の飛行隊ではありえない階級の方が乗っていることも珍しくないのです。

確か過去には空将補(幕僚長、空将に次ぐ偉い立場。基地司令・航空団司令などを務める)で操縦している方も存在したかと。

他にも、パイロット紹介聞いてみたら、元ブルーのパイロットだったり馴染みのある飛行隊出身の方だったり意外な発見があります。

航空自衛隊という大きな組織を担う幹部自衛官は、どうしても多方面の知識を必要とするため、飛行要員以外を経験して、また飛行隊に戻るというのも重要な経験です。

支援飛行隊は、そんな航空自衛隊の人材確保を担う上で、とても重要な飛行隊なのです。

痛飛行機弐