一般に「口径の大きな銃」=「威力が高い」と解釈されがちで、実際にその傾向はあるのですが。

一般的に使われるライフル弾は5.56mm(22口径)か7.62mm(30口径)
対して拳銃弾の定番は9mm(38口径)、または11.5mm(45口径)。

拳銃弾の方が遥かに口径が大きいですが、ご存知のとおり威力はライフルが圧倒的に勝ります。

銃弾の口径は何を基準に決められるのか、口径の大小はどういう影響があるのか、貫通力や人体への威力はどう変わるのか、解説していきます。

銃弾の運動エネルギー

これは、単純に「弾丸の重さ」と「飛翔速度」という2つの要素で決まります。

運動エネルギーの算出式 1/2×M(質量)×V(速度)の2乗

ご存知のとおり銃というのは火薬を発火させて、その燃焼ガスのエネルギーで銃弾を加速させるので弾丸の飛翔速度は火薬の特性と銃身の長さに依存します。

ここに拳銃弾の方が大口径という理由が1つ。

そして同じ運動エネルギーでも「貫通」と「衝撃」では適した口径が異なるという点も関係してきます。

拳銃弾の口径が大きいわけ

銃身の長さの問題

拳銃は小さいことに意味がありますので、あまり銃身(バレル長)を長く取ることは出来ません。

銃身が短いということは、加速出来る時間が短いということ。

加速時間が短いという縛りの中で一定の速度を出そうと思うと

  • 最大燃焼圧力を大きくする
  • 口径を大きくする

このどちらかが選択肢となります。

しかし圧力を大きくするということは、それに耐えられるだけの銃身構造にしなければならないということです。

携帯性の高さが強みの拳銃なのに、大きく重くなったら本末転等です。

故に拳銃としての強みを活かしたま速度を稼ぐには、燃焼ガスの圧力を大きな面積で受けられるように、断面積を大きくするしかありません。
(大きな帆を張れば同じ風でもより強く推進力を得られるイメージです)

「貫通」か「衝撃」か

同じ運動エネルギーを持つ弾丸の場合、なるべく細長く鋭く尖った形状の方が貫通力を高く得る事が出来ます。
また空気抵抗も少ないので、当然遠くまで減衰せずに飛んで行きます。

対象に弾丸の運動エネルギーを大きく与えたい「衝撃」を重視するなら、逆に貫通しない形状にした方が得策です。
反面、空気抵抗は大きいので遠距離を狙うには不向きとなります。

拳銃の目的は一般に「対人」「対獣」なので、貫通力よりも対象に与えるエネルギー重視です。
また近距離の使用が前提なので、空気抵抗の影響もそれほど考える必要がありません。

なので貫通しにくい大口径弾の方が拳銃の使用用途には適した設計となります。

ちなみに大半の拳銃弾は着弾後、前から押し潰れるようになっています。
これも対象に少しでも多くのエネルギーを与えるための構造です。