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ミサイルのJアラートは何故広範囲に発令されたか。弾道予測が出来ないというのは間違い。

8月29日の朝6時に発信された弾道ミサイルに関するJアラート。

対象地域は北が北海道、南は茨城県や栃木県などの北関東までと非常に幅広いものとなり、政府に批判的な論調の方々からは「弾道が予測できていないのでは」との意見もありました。

しかし、あれだけ広い範囲に亘ったのはちゃんとした理由が存在します。

今回は、何故Jアラートが広範囲に発信されたかの理由について解説していきます。

考える大きな2つの要素は

①時間の余裕の無さ
②弾道ミサイルの飛行特性

まず今回、Jアラートが発信されてからミサイルが襟裳岬上空を通過するまで5分もありませんでした。

Jアラートの目的が「避難行動」である事を考えれば、発信は早ければ早いほど避難時間を確保出来るので、よりその目的を果たすことが出来ます。

しかし弾道ミサイルの特性上、高精度な飛行経路を分析するには、より多くの時間を掛けなければいけません。

仮に飛来する物体が推進力を持たない、慣性で放物線を描く軌道なら、初速と射出角度だけ分かればすぐに軌道は算出できます。

実際、砲兵が運用する「対砲レーダー」というのがあり、飛んでいる砲弾の軌道をレーダーで検出することで速やかに敵砲兵部隊の発射位置を算定、その位置へ友軍が反撃するという事が可能です。

しかし弾道ミサイルの場合、それ自体が燃焼により一定時間加速を続けます。

つまり何処まで飛行するかというのは「燃焼が終了した時点」の速度と角度によって決まります。
当然過去の発射データなどから「このタイプのミサイルなら燃焼時間は○秒…」などと逆算することも可能ですが、発射からしばらくの間は計算が不正確にならざるを得ないのです。

またほとんどのミサイルは発射は垂直に行われ、その後徐々に目標方向への軌道を取ります。
(ロケットの打ち上げなどでも、徐々に軌道が曲がっていくのが見えるかと思います)

当然「何処に飛んでくるか」を割り出すには高さ成分だけではなく平面座標・水平方向の速度を測る必要がありますが、発射直後はそれが非常に小さいのです。

この点からも軌道予測の精度を上げるには、長時間の観測が必要となります。

まとめますと

Jアラートが避難を目的とする以上、警報は早ければ早いほうがいい

しかし軌道を正確に予測するには時間が必要

よって「ある程度」絞り込めた段階で広範囲に警報を発令するしかない

ということになります。

範囲が絞り込めるのを待って警報を出したら避難が間に合いませんでした、じゃ何の意味も無いのです。
人の命を守るための初動で余計な躊躇いを持つことは愚策中の愚策。
「何のための行動なのか」を考えなくてはいけないのです。

また仮に燃焼異常、制御不能などに陥ればミサイルは最早何処に飛んでいくか分かりません。

その点でも警報範囲をピンポイントに絞り込むのは無駄にリスクを広げることになります。

それなら迎撃も遅くなるのでは?

イージス艦のSM-3ミサイルは打ちっぱなし(発射後に母機の誘導を必要としない方式)ではなく、発射後も艦から随時最新の情報を受け取りミサイル本体の軌道を修正しながら目標へ向かいます。

なので「着弾点が日本の領土・領海内」とだけ絞り込んだ段階で発射すれば、飛行経路は途中修正がある程度可能です。
(実際どの段階で射撃指示が下るのかは公開されていないので分かりません)

つまりイージス艦も完全に軌道を見切ってから撃つのではなく、ある程度曖昧な状態で対応することが出来るのです。

 

ミサイル防衛についての詳しい解説は此方を



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2 コメント

  1. 二宮章子

    空襲警報を知らないが用心に越したことは無い。

    • HARUKAZE

      二宮様
      備えは万全に、しかし使うことが無いのが最善だと私も思います。

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