自衛隊の各部隊で使われた車両・艦船・航空機。

10年20年、長いものではそれ以上使用することになりますが、これらの装備品は役目を終えたあと、どうなるのか。

よく「自衛隊払い下げ車両」なる言葉も見ますが、あれは実際のところ、どういう代物なのか。

防衛省や各自衛隊の公表されている資料より、解説していきます。

車両の場合(主に陸自)

よく高機動車や偵察用オートバイなどが「自衛隊からの払い下げ」として銘打って出回っていることがありますが、自衛隊の内部規定により装備品は「そのままの状態で民間に払い下げる」ことは出来ないと規定されています。

但し1個だけ例外があり「自衛隊車両だけどナンバープレートを取得した車両(幹部の送迎車両やマイクロバスなど)」は、中古車として払い下げが行われます。

その他は自衛隊内部で、特に外部へ出したくないところは先行して破壊措置を行うのです。
また、備品・予備機材として使用出来る部分を取り外すこともあります。

この措置を経て、基本的に自衛隊の車両については「スクラップ」として外部業者へ放出されます。
つまり「車両」としてではなく、「その重さの金属資源」扱いなのです。

また、契約業者には以下の制限が課せられます。

引き渡時、引渡後は次のような措置をする。
ア 車両を解体することなくそのまま引き取る
イ 引渡後は、復元して車両としての再利用は絶対にしない。
ウ 引渡後は速やかに鉄屑、リサイクルの処分を実施する。
(陸上自衛隊契約仕様書より)

よって自衛隊車両が、そのままの形で出回るということは絶対にあり得ません。

ちなみに解体条件付きでの契約の場合、解体完了の報告書を提出するまでは、自衛隊側に所有権が帰属する契約もあるようです。

じゃあ「自衛隊車両」として出回っている物の正体は一体何なのかというと

  1. スクラップヤードから部品をかき集めて復元したもの
  2. スクラップとして海外などを経由して流れてきたもの
  3. 引き取り業者のゴタゴタなどで流出したもの

この辺があり得るのではないでしょうか。

何にせよニコイチどころか元の車両は何台あるか分からない、あるいはどんなルートを通ってきたか分からないような代物なので、レストアを自力で出来るくらいのマニアで無いと車検を通すのにも一苦労するのが目に見えており素人がおいそれと手を出せるものではなさそうです。

艦船の場合

除籍艦の場合は「解体条件付の売払」となります。

即ち、海上自衛隊・防衛省側が指定する方法で解体することを条件に、売却するという方式。

価格はやはりスクラップ=金属資源の量としての基準になるようです。
金属資源価格-解体に掛かる費用=売却価格となります。

機密保全というのもありますが、海上自衛隊で使用される船舶は船舶法の適用から外されています。つまり海上自衛隊の籍から外れてしまうと、日本国内では「船」として合法的に使えないのです。

使えないものに対して、客観的に公平な何らかの価値を与えようとするなら、必然的に資源量ということになるでしょう。

一部は「標的艦」として使用されますが、この際も「除籍した艦を標的艦仕様に改造する」という条件で契約されるようです。

航空機の場合

退役後の扱いで一番謎が多いのが、航空機です。

航空自衛隊の場合だと

(1)
令第5条第1項第4号に該当する普通財産として管理及び処分するものにあっては、幕僚長の細部指示によるものとする。
(2)
物品に編入するものにあっては、関係分任物品管理官に送付するものとする。この場合状況により一般供用官を経る返納票による送付又は部品取り等のため整備隊等を経る送付のいずれかによるものとする。
(航空自衛隊国有財産取扱規則)

(2)の物品に編入というのは、例えば地上訓練用の教育機材として活用したり、あるいは整備用の部品取りに回すということかと思われます。

しかし、それ以外は「細部指示」とあるだけで、統一した基準が存在しません。

航空博物館などに送られるもの、自治体の公園などで展示するために譲渡されるものなど、退役航空機の扱いはかなりバラバラなので、その都度決めたほうが柔軟性があるということだと思います。
(基地内での展示=ゲートガードは「物品に編入」の扱いだと思われ)

たまに民間施設などで置いてあることもありますが、偉い人の知り合いとか地元の有力者で基地の活動に協力してくれている、みたいな繋がりなのでしょうか。

ただし艦船と一緒で自衛隊の航空機も航空法における耐空証明の適用外となっており、一部民間機ベースの機体を除いては自衛隊籍を離れると日本国内では飛行機として使用不可能となります。

よって退役機が外部へ売却されるなら、これもやはりスクラップ扱いでしょう。
陸上自衛隊のですが、チヌークが売却される際に「飛行機として再使用は固く禁ずる」といった旨の但し書きがあったのを見たことがありますので、解体条件付きかと思われます。

 

まとめますと

  • 自衛隊の装備品がそのまま売却される事は基本的に無い
    (民生品をそのまま使っている場合は除く)
  • 売却後は、契約に従って直ちに解体処理される
    (元の用途で使うことは出来ない)
  • 売却価格は基本的に金属資源としてのスクラップ価格
    (金属資源価格-解体費用=売却価格)

といった形になります。

退役装備品を最低限の防衛機密保護の処理だけ行って、航空ジャンク市みたいなことやれば意外と買い手はいそうなものですが、お役所ですので仕方ないですね。

 

ちなみに筆者は買えるなら退役後に百里のブルーファントムを買い取りたいです・・・
これをお庭に飾った飛行機グッズのお店を百里の近くに開いて、飛行機漬けの毎日を送りたい・・・

ジャンボくじ当たらないかなぁ(*´Д`)=3ハァ・・・

 

※参考情報
防衛省各局 国有財産取扱規定、及び売払に冠する規定