1年に1度、富士の麓で貴重な実弾射撃を披露してくれる富士総合火力演習。

そんな総火演を、100倍とまでは言わないですが、より一層楽しむ方法として

「放送で流れている射撃の号令は、どんなことを言ってるの?」

というのをまとめてみました。

陸上自衛隊チャンネルのyoutube映像の時間に合わせて解説していきます。

特科・榴弾砲編迫撃砲編に続いて、最後に機甲科・戦車編です。

 

 

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10式戦車の射撃(映像59:00くらいから)

74式戦車、90式戦車と登場しますが、筆者の耳で一番よく聞き取れたのが最後の10式戦車の射撃号令だったので、これを例に解説します。

ちなみに戦車の射撃号令、榴弾砲や迫撃砲に比べて聞き取りにくいというか、かなり激しい口調ですが、これには理由がありまして。

榴弾砲や迫撃砲の号令が最前線から少し離れているFDC=射撃指揮所から下されているのに対して、戦車は指揮官自ら戦車に乗り込んで指揮を取ります。
で、現代の戦車は無線通信を担当する通信手がいません。

74は車長・操縦手・砲手・装填手の4人、90や10は装填手を抜いた3人です。

よって指揮官自ら戦車に乗り込んで自分で号令を全て掛けることになります。
ヘッドセット使うとはいえ1200馬力の化物エンジンやキャタピラの鳴らす轟音の中で確実に部下へ声を届けないといけないわけですから、そりゃあれだけ激しい口調にもなります。

さて本題に戻りまして

最初に第1班の2両が進入してきます。

5の台・左戦車
徹甲
1班集中・・・撃て!
命中 撃ち方待て!

まず5の台・左戦車は、目標を指示しています。
(その前のアナウンスで目標は5の台左の戦車ですとアナウンスしていますね)

続けて、徹甲

これは発射する弾種です。

戦車砲には大きく分けて、徹甲(APFSDS)と対榴(HEAT)の2種類があります。

写真手前が徹甲=徹甲弾(正確にはAPFSDS)。
これは金属の巨大な「矢」のような構造をしており、超音速で目標に衝突する事で、その装甲を突き破ります。

奥が対榴=対戦車榴弾(HEAT)
こちらは目標に衝突すると中の火薬が起爆して、その圧力を一点に集めて装甲を貫くタイプの弾です。

目標や状況に応じて使い分けるので、弾種の指示が入ります。

続けて1班集中!の部分は、1班に属する戦車(2両)で集中射撃を行うの意味です。

これが2班集中!だと2班の2両で射撃せよ、小隊集中!だと小隊の全車両で同時射撃せよの意味になります。

ここまで来て、初めて撃て!の号令が掛かります。

命中、撃ち方待て!は「撃ち方、やめ!」じゃないのと思うかもしれませんが「撃ち方待て」は「一旦止めるけど、すぐに撃てる用意をしておけ」の意味。
対して「撃ち方、やめ!」は射撃を終了する意味として用いられます。

「銃口管理」という言葉もありますが、基本的に銃口は撃つ用意をする時だけ対象に向けなければならず、その他は必ず地面に向けます。
「相手に照準を向けておくか、銃口を下ろすか」の違いが「待て」と「やめ」だと考えると分かりやすいと思います。

続けて2班の行進射撃を解説します

6の台・左戦車
徹甲
2班集中 行進射
2班右へ!撃て

固有名詞以外で違うのは3行目と4行目ですね。

先ほどは集中・・・撃て!でしたが、今度は

集中 行進射 2班右へ!撃て!

行進射は文字通り「進みながら撃て!」という意味になります。
その後「右へ!」で右への旋回指示、そして「撃て!」です。

戦車は各車両が緻密に連携してこそ真価を発揮するので、前後左右・進め・止まれの号令も重要です。

これだけ一通り分かれば、他の部分も応用で楽しめると思います。

ちなみに行進射撃が終わって停止した後、「ヒトヒト、こちら2班」と呼び出していますが、恐らく「ヒトヒト=小隊長の無線呼出し符号」です。

痛飛行機弐