重い荷物や車両でも軽々と持ち上げて、空中を移動させることの出来るCH-47チヌーク。

chinuk1

スペック上では有効搭載量11.2t(航空自衛隊HP記載)となっていますが、外にぶら下げて運ぶ場合には、機体の問題だけでなく、それをぶら下げる「綱」=スリングの性能も必要になってきます。
(ちなみにクレーンなどで使われるワイヤーは1トンの重さを持ち上げるために安全率見込んで「16mm」くらいのワイヤーが使われています)

このぶら下げているスリング、何か規格のようなものはないだろうかと探していたところ、実は極々普通に公表されていました。

陸上自衛隊仕様書 GQ-L000154P スリングベルトCH用

民生品扱いなので、調達に関する仕様書が公開されているようです。

ちなみに、スリングの構成も記載されていて

ch2

陸上自衛隊仕様書より抜粋

こんな風に、一個の集約スリングから複数の長尺脚スリングを伸ばして、さらに連結環で短尺の脚スリングを用いて吊り下げ品とクレビスで結束するという構造になっていました。

tachikawa

仕様書を読み解いていくと、要求仕様荷重についても明記されており

  • 集約スリング・・・使用荷重103.9kN(保証124.5kN)
  • 脚スリング・・・使用荷重103.9kN(保証41.4kN)

とあるので、チヌークでの吊り下げにおいては、103.9kNが想定される最大運用加重ということが分かります。

重力加速度9.8とすれば約10600kgとなるので、ほぼ公称されているチヌークの最大積載量と同じくらいになりますね。
実際には、上昇加速度や吊り下げ品の揺れによる加重を考慮しなければならないので、これより若干小さくなるとは思いますが。

なお材料についても指定が記述されており集約スリング・脚スリング、共にウェビング生地とのことです。
(頑丈なベルトとかリュックに使われている、細かい縫目の入った、あれです)

chinu3

生地を何重にも折り重ねていく事で、10t近い荷物をぶら下げる強固なスリング=輪としているそうですが、ワイヤーなどではなく生地で巨大な車を軽々ぶら下げていると思うと、なんだか凄い話ですね。