最新技術が惜しげもなく投入される一方で、昔ながらの変わらないものも多いというのは、以前チヌークの記事でも書いたと思いますが、輸送機の世界にも最早スタンダートと言えるほどに定着した輸送機があります。

それがC-130ハーキュリーズ、通称「ハーク」です。

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西側諸国・約70カ国で採用されたハークは、世界で最も有名な軍用機の1つと言えると思います。

何故ハークは、ここまでの地位を築くに至ったのか、その魅力を解説していきます。

近代輸送機の先駆け

第二次世界大戦の頃に使われた輸送機はC-47スカイトレインなどを筆頭に後輪式(主脚の後ろに補助脚がついて、機体が後ろに傾くタイプ)が多く
「荷物の積み下ろしするのに機体が傾いてると面倒」
という、欠点がありました。

またベースが旅客機であったため、基本的には「ドア」からの出入りしか想定されておらず、大型貨物などの輸送には制限も生じます。

そこでアメリカ軍により中型輸送機開発計画として発注され、その座を得たのがC-130ハークです。

ハークには、それまでの輸送機には無い特徴的な設計が幾つもなされていました。

①後部カーゴドア

C-1輸送機などでも採用されている、この後部を大きく開くタイプのカーゴドア。

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スロープとしても使用することで、車両や重量物の積載をスムーズに行う事が出来ますが、この形のカーゴドアを採用したのが他ならぬハークです。

先ほど書いたとおり「ドアからの搬入」という、それまでの輸送機の概念を塗り替える画期的な設計は、現代では軍用輸送機の標準設計と言えるまでに定着しています。

②高翼配置

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飛行機の主翼配置には「高翼機」と「低翼機」がありますが、現代の輸送機はほぼ例外なく高翼機になっています。

この先駆けとなったのも、やはりハークです。

主翼の付け根には、長い主翼を飛行中も支え続ける強靭性が要求されますので、その部分は他に比べて構造材を太くしたり、大きめのスペースを確保しないといけません。(中央翼構造と呼ばれます)

トラックやバンなどを見ても分かるとおり、荷物を沢山積んで、かつ出し入れを容易にするには極力床面がフラットになることが理想です。
しかし主翼を低翼にしてしまうと、それを支える為に機体の中央付近スペースを塞いでしまう事になります。

せっかく後部カーゴドアでスムーズに載せても、中央付近に出っ張りがあったら邪魔ですし、長物の積載に支障が生じます。

高翼配置にすれば、主翼を支えるためのスペースは「上部」に置く事ができ、「床面フラット」を実現しやすくなります。

また翼が高いと、それにぶら下がるエンジンも高い位置になりますので、不整地運用に際して砂利や異物をエンジンに吸い込むリスクが低くなります。

この点でも、軍用輸送機、特に戦術輸送機にとって、高翼配置は理想的です。

③主脚バルジ

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メインギアを格納するために、あえて機体の一部を膨らませる「バルジ」と言われる構造。
カーゴスペースの容積確保と床面フラット化を実現するための設計ですが、これもやはりハークが先駆けとなっています。

一般に飛行機は出っ張りが少ないほうが空気抵抗が少なく、飛行には有利になりますが、「貨物輸送」という点を重視して多少の空気抵抗増加は覚悟で、搭載能力の確保を優先したハークの設計は、結果的に大成功だったと言えます。

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ハークは在日米軍機としても活躍中。2017年から最新のJ型が横田に配備予定。

これらの設計は、現代では軍用輸送機の「基本スタイル」と言うべきものになっていますが、それらを全て先駆けて導入したのがC-130ハークなのです。
故に、最新型の「J型」に至るまで、電子装備やエンジンの換装などは行われていますが、1950年代の初飛行から「機体の基本設計」は、ほとんど変化していません。

そのあまりの完成度の高さに、軍用輸送機の基本スタイルはハークで確立されたとまで言われるほどです。

自衛隊のハーク

航空自衛隊にはC-130Hが導入されており、そのうち2機がKC-130Hと言われる空中給油タンカー仕様に改造されています。

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配備基地は小牧基地ですが、全国を訓練や定期輸送飛行などで飛び回っているので、各地の自衛隊基地で見れる他、自治体との共同訓練や急患輸送などで出動することもあるので、民間空港にも現れることがあります。

海上自衛隊にはC-130Rが導入されています。

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米軍のKC-130Rで保管されていた機体を、タンカー仕様を取り外す形で購入したのが、このC-130Rです。

厚木基地第61航空隊に配備されていますが、物資・人員輸送のため、此方も全国を飛び回っています。

ハークの短距離離着陸性能と、その輸送能力は島国である日本にとっても、非常に重要であり、自衛隊の任務を「輸送」で支える、とても重要な存在なのです。