装甲を貫く戦車砲弾。実はあの大手エアコンメーカーが製造元。

装甲を貫く戦車砲弾。実はあの大手エアコンメーカーが製造元。

音速の何倍もの速度で飛翔し、分厚い装甲を貫く戦車砲の砲弾。

現在の主力であるAPFSDS弾は、さしずめ巨大な金属の「矢」のような形をしており、音速の5倍で撃ちだされ鋼鉄に換算すると600mmや800mmといった分厚さを貫くことが可能です。

そんな戦車の砲弾、実は誰でも知ってる身近なメーカーが製造しているのをご存じでしょうか?



戦車砲弾はダイキン工業製

戦車砲弾を製造しているのは大阪に本社を置く「ダイキン工業」。

家庭用・業務用を問わずエアコン・空調設備で有名な、あの「ダイキン・DAIKIN」なのです。

ダイキン工業では戦車砲弾の他、迫撃砲弾、速射砲弾、無反動砲弾、小銃てき弾など様々な砲弾を製造しており、自衛隊にとって砲弾の供給元としてなくてはならない存在であると言えます。

エアコンのメーカーがなぜ砲弾?と思うかもしれませんが、実は歴史を遡るとその発想は全くの「逆」であるということが分かります。

ダイキン工業のルーツ

ダイキン工業の創業者・山田晁氏はダイキン工業のルーツである大阪金属工業所を立ち上げる前、大阪砲兵工廠でおよそ10年に亘り機械エンジニアとしての知識・経験を獲得。

その後、当時の上官が設立した会社に勤めた後に、大阪金属工業所を開業しています。

生まれて間もない大阪金属工業所が最初に製造していたいのは、中島飛行機製作所が手掛けていたニューポール式航空機(陸軍甲式戦闘機)のラジエーター用チューブでしたが、創業から間もなく大きな転機を迎えます。

当時、陸軍で問題となっていた砲弾の信管改良案が認められ、軍から大量の信管製造の発注を得たのです。

これを機に大阪金属工業所は軍からの仕事を数多くこなすようになります。

この信管発注の契機が1925年。その後、薬莢の製造や軍の仕事以外にも機械部品製造などを多く手掛けます。

そして現在のエアコン製造に繋がるのは、ここから更に10年ほど後。

当時、アメリカで開発が進んでいたフロン冷媒の国産化を次期主力事業として着手し、それを用いた空調装置が海軍の潜水艦用として採用されたのが1939年のことになります。

つまり「エアコンメーカーが砲弾を作っている」のではなくて「砲弾を作っていたメーカーが、事業拡大でエアコンの開発を始めた」というのがダイキンというメーカーの成り立ちなのです。

また戦後には朝鮮戦争に際して迫撃砲弾などの砲弾製造を米軍から受注、これが現在の砲弾製造へと繋がっています。

自衛隊の調達情報などを見ると「えっ、このメーカーが?」というのがありますが、どういう経緯でそこに至っているのか。
調べてみると色々と面白いかもしれません。

※参考資料

  • 『拓く』ダイキン工業 90年史(2015年7月発刊)
  • 『継ぐ』 ダイキン工業 90年物語(2015年7月発刊)