航空機には大きく分けて「タービン機」と「レシプロ機」の2種類があり、操縦に必要なライセンスもタービンとレシプロでは異なっています。

タービン機の代表格はジェットエンジンで、これは官民問わずよく見かけますが、もう一方のレシプロ機は自衛隊には存在するのか?

解説していきます。

そもそもレシプロ機とは

レシプロとはreciprocating=往復運動を意味する言葉で、自動車のエンジンのようにピストンが上下に動いてそれをコネクティングロッドを通してクランク軸で回転力として取り出すエンジンのことを「レシプロエンジン」と言います。

レシプロ機とは、レシプロエンジンを積んだ機体のことです。

代表的な機体はセスナの172を始めとする単発プロペラ機ですが、双発でも4発でもエンジンがレシプロエンジンであれば「レシプロ機」と定義されます。

またヘリコプター(回転翼)においても、同様にレシプロエンジンを積んだ機体は「レシプロ機」です。

代表的な機種としては、練習用ヘリコプターのベストセラーであるロビンソンR22やR44などがあります。

レシプロエンジンはタービンエンジンと比較した場合、最高出力は残念ながら勝負にすらなりません。

レシプロエンジンで最大の規模を誇ったR-4360ワスプメジャーというエンジンは7つのシリンダーを繋いだ星型エンジンを縦に4つ並べる「28気筒エンジン」という凄まじい規模で重量約1700kg・最大4300馬力の出力を得る事が出来ましたが、P-3C哨戒機やC-130輸送機に採用されるアリソンT56ターボプロップはその半分の880kgでほぼ同じ出力を得る事が可能です。

パワーだけならレシプロには勝ち目が無いのです。

一方、レシプロの利点としてコストパフォーマンスの良さに加えて、操作に対するレスポンス=反応の良さがあります。
パイロットがスロットルを操作すればエンジンは遅延無く操作に対して追従することが可能で、特にまだ操縦に慣れていないパイロットが搭乗する練習機・訓練機においては、この特徴は非常に有意義です。

自衛隊にレシプロ機は

結論から言ってしまうと、2019年現在、陸海空全ての自衛隊において「レシプロ機」に定義される機体は固定翼・回転翼どちらも存在しません。

使用されている機体は、全てジェットまたはターボプロップで「タービン機」なのです。

単発のプロペラ機としては海上自衛隊のT-5初等練習機、航空自衛隊のT-7初等練習機がありますが、これらはアリソンモデル250というターボプロップが搭載されており「タービン機」の扱いです。

先ほど書いた通り練習機、特に初めて操縦桿を握る初等練習機としてはレシプロ機の優れた反応が有利となりますが

  • レシプロ機があると燃料を統一出来ない
    (タービンはジェット燃料、レシプロは航空ガソリン)
  • 将来的に自衛隊のパイロットは皆タービン機に乗るので、早いうちからタービンで訓練を始めて慣れるメリットがある

などの理由からタービン機となったとのこと。

陸上自衛隊の練習ヘリTH-480も同様にアリソン250ターボシャフトを搭載しているためタービン機です。

過去にあったレシプロ機

現在では全てタービン機となった自衛隊機ですが、過去には様々なレシプロ機が活躍していました。

T-5練習機の先代にあたるKM-2、同じくT-7練習機の先代T-3はそれぞれライカミングのレシプロエンジンを搭載した機体です。

なおこの2機種は海上自衛隊・航空自衛隊の双方で「最後のレシプロ機」であり、両機の退役が各々の組織からレシプロ機が全て無くなった日となります。

また巨大なレシプロ機として活躍したのが、創設間もない航空自衛隊で輸送機として飛んだC-46(愛称・天馬)

2800馬力のR-2800ダブルワスプを双発で搭載したパワフルな機体でした。

これらの機体は既に翼を休めていますが、各地の博物館・展示館などで往年の姿を楽しむことが出来ます。