燃料の一滴は血の一滴とまで言われるほど、航空機の運用に欠かせない「燃料」。

どんな飛行機も燃料が無くなればただの高価な置物にすぎません。

日本においては飛行機の燃料は「ガロン」で管理するのが一般的で、自衛隊でもガロン表記が使用されます。

対して飛行機に燃料を給油する給油車は「20KL燃料給油車(航空自衛隊)」、「10000リットル燃料タンク車(陸上自衛隊)」のようにリットル表記が用いられます(過去のトレーラー式にはガロン表記のものもあり)。

このガロンとリットルの混在、一見非効率的ですが、何故このようになっているのか。

一部、推察も混じりますが考えていきます。

日本国内は原則
メートル法

日本国内で使われる単位は全て『計量法』という法律で定められています。

例えば長さは『メートル』、重さは『キログラム(グラム、トンも可)』といった具合で、原則としてこれ以外の単位を使用することは出来ません。

計量法で定められた容積の単位は立方メートルかリットルのどちらかであり、ヤードポンド法に基づく『ガロン』は原則として日本国内で使用することは不可能です。

航空機は例外扱い

では何故、飛行機の燃料がガロンで扱われているかというと『計量法の例外』として特別に認められているからです。

2 前項の政令で定めるヤードポンド法による計量単位は、次に掲げる取引又は証明に用いる場合にあっては、当分の間、法定計量単位とみなす。
一 航空機の運航に関する取引又は証明その他の航空に関する取引又は証明であって政令で定めるもの
二 その物象の状態の量が前項の政令で定めるヤードポンド法による計量単位により表記されて輸入された商品であって政令で定めるものに係る取引又は証明

(計量法 附則抄 第5条)

と、計量法の附則として定められており、飛行機の運航に関しては計量法においても特別にヤードポンド法を使用してもよいと定められています。

また

法附則第九条第二項の政令で定める計量器は、次のとおりとする。
一 ヤードポンド単位による目盛又は表記を付した次に掲げる計量器であって、経済産業省令で定めるもの
イ 次に掲げる計量に用いる計量器
(1) 航空機の運航に係る計量
(2) 航空機による運送に係る計量
(3) 航空機及び航空機用機器並びにこれらの部品に係る計量
(4) 航空機の運航に関する気象、地象又は水象に係る計量
ロ 自衛隊が武器の一部として使用する計量器
ハ イ又はロに掲げるものの検査に用いる計量器
二 内燃機関又は外燃機関の工率の計量に用いる計量器であって、仏馬力による目盛又は表記を付したもの

(計量単位令 第12条)

として、航空機に関わる計量器(メーター)は国内においても合法的に使用出来ることが定められています。

では自衛隊の事情はどうなのか?

自衛隊における計量法

自衛隊には航空法や道路交通法など様々な法律から適用を除外される特例が平時から定められていますが、自衛隊法を見る限り計量法については何らかの適用を除外する旨の法令はありません。

このことから計量法は自衛隊においても、ほぼ全面的に適用されると考える事が出来ます。

また、海上自衛隊の資料として

計量法の改正に伴う航空機及び武器等の適用除外について

という通達の存在が確認可能で、これによればやはり自衛隊内部で使う計測器類についても原則として計量法が適用され、ヤードポンド法を用いる場合には経産省に申請を出す事が求められるようです。

自衛隊が航空燃料を買う際の契約は全て「キロリットル」で契約されています。

と、なると

→リットルの単位で燃料を基地に受け入れタンクに貯蔵
→タンクから給油車へ
→給油車から航空機へ

という流れの中で「何処か」でリットルとガロンを切り替えないとなりません。

しかし先ほど書いたとおりヤードポンド法を用いる部分が多ければ多いほど、経産省へ出す書類仕事が増えてしまう。

これらをまとめて考えると

  • 日本では計量法によりメートル法が基本で「ガロン」は特例扱い
  • 自衛隊にも計量法は全面的に適用される
  • 航空機はガロンなので燃料の流れの何処かで単位を切り替える必要がある
  • ガロン単位を使う箇所が多いほど事務処理が増える

と、いうことで航空機に搭載するタイミングでリットルとガロンを切り替えるのが、最も手間が掛からないのではないか?というのが筆者の出した見解です。

リットルとガロンが混在しているのは、自衛隊がしっかりと法律に則って業務を行っているということなのです。

一見すると「役所仕事」「非効率的」とも思われるかもしれませんが、工学系出身の筆者からすると

単位がルールに則って統一されている

というのは、とても重要なことだというのを末筆ながら添えておきます(工学単位系…)