日本の領空を脅かす脅威を、地上から撃墜する高射部隊。

地対空ミサイルを運用する部隊としては、航空自衛隊の各航空方面隊隷下に高射群・高射隊、また陸上自衛隊には各方面隊隷下に高射特科として地対空ミサイル部隊を有しています。

それぞれ何が違うのか、どうして別々になっているのか解説していきます。

空自の高射部隊

航空自衛隊の高射隊は航空方面隊隷下・高射群・高射隊としてペトリオットミサイルを用いて任務に当たっています。

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例えば中部方面航空隊隷下の第1高射群は4個高射隊で習志野・入間・霞ヶ浦・武山(陸上自衛隊高等工科学校が隣接)に、それぞれ高射隊が常駐しています。

航空自衛隊の高射隊が担う役割は、上昇限度20000m超・射程約70km超という大型のミサイルを用いた「広域防空」になります。

戦闘機部隊が阻止できなかった敵性航空機・脅威を迎撃する「第二波」としての意味合いが強いのです。

また近年では弾道ミサイルへの脅威に対する備えとして、PAC-3を用いたミサイル防衛の任務も担っています。

ちなみに基地防空用地対空誘導弾や近接防空機関砲のVADSも各飛行場に配備されていますが、実はこれらの装備、高射隊の担当ではありません。
基地業務群・基地防空隊という、各航空団隷下で基地に関する業務を行う部隊の一環という扱いなのです。

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例えば千歳基地や那覇基地には戦闘機部隊と高射部隊の双方が駐留していますが、千歳基地を例に取ると

ペトリオットミサイルを運用する部隊
北部航空方面隊隷下・第3高射群・第9高射隊、及び第10高射隊

基地防空用地対空誘導弾やVADSを運用する部隊
北部航空方面隊隷下・第2航空団・基地業務群・第2基地防空隊

あくまでも高射隊はペトリオットを運用する部隊なのです。

陸自の高射部隊

陸自の高射部隊は特科部隊の一つとして「高射特科」という形で置かれています。
(方面隊により部隊規模・編成に差がある)

主な装備としては81式短距離地対空誘導弾・11式短距離地対空誘導弾などの短距離地対空ミサイルや、中距離用の03式中距離地対空誘導弾、また北部方面隊限定ですが近接防空として87式自走高射機関砲などを有しています。

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陸自の高射は領空防衛というよりも、日本の領土内に侵攻した敵性航空機に対する攻撃と、陸上戦力の防御という観点が強いです。

特に近SAMなどは高機動車の車体に搭載されており、移動も容易です。

 

何で、空自と陸自で分かれてるの?

詳細は古い話になるので、正確な記録は未だ見た事がありませんが…

元々「地対空攻撃」「対空砲火」というのは、陸軍の管轄に属しており、先の戦争における本土防空戦闘でも、対空砲による迎撃の主力を担ったのは陸軍です。

またアメリカ軍ではペトリオットミサイルは空軍ではなく陸軍の管轄に置かれています。

嘉手納基地にもPAC-3が配備されていますが、実は米空軍の管轄ではなく

アメリカ陸軍第1防空砲兵連隊・第1大隊

が運用を担っています。米空軍基地の中に陸軍が間借りしている形なのです。

しかし、空軍というのは陸軍から派生した組織でもあります。

日本で地対空ミサイルによる本土防空という任務が与えられるにあたり

陸上自衛隊は「本土防空の高射任務は従来より陸軍の管轄」

航空自衛隊は「防空任務は航空戦力と一体化すべき」

で、双方譲らず、結果として

領空の防衛という色が強い長距離高射部隊(当時はナイキミサイル)は空自の管轄、本土防空・部隊防空に関しては陸自の管轄ということにして、決着させたとか。

( ̄へ ̄|||) ウーム・・・これで、いいのか・・・?

痛飛行機弐