このブログを書いている今も、まさに自衛隊が災害派遣で九州の大雨災害に出動している最中ですが、自然災害の多い日本において、自衛隊の災害派遣は貴重な頼み綱となっています。

特にヘリコプターを使った活動は、警察や消防が各都道府県に1機か2機という限られた数しか持っていないの対し、自衛隊は汎用ヘリのみならず大量の物資が輸送可能な大型ヘリコプターや、悪天候にも強い高出力のヘリコプターを、何十機という単位で運用する事が可能です。

災害現場では、要救助者をホイストで救助する、孤立した集落に支援物資を空輸するといった姿が、どうしても目に付きますし、「ヘリコプターを使った災害派遣」と言ったら多くの人が想像するのは此方でしょう。

北宇都宮駐屯地での訓練の様子

北宇都宮駐屯地での訓練の様子

しかし、目立たない形で重要な任務をこなしているヘリコプターも飛んでいます。

今回は、そちらを紹介していきます。

地上部隊の目となる「観測ヘリ」

災害発生時、部隊が行動を開始するには、様々な情報が必要です。

例えば

  • 道路の通行可否
    (橋の損傷・浸水・障害物の有無など)
  • ヘリコプターの着陸可能地点の有無
  • 事前情報との相違

特に「通れる道があるか」というのは、地上主力部隊が行動を開始する上で、非常に重要な要素です。
主力部隊や物資の輸送には、機動力に優れる高機動車や1/2トントラックだけでなく、3 1/2トントラックなどの大型輸送車両の活躍が必要になりますが、道路状況によっては通行できない、または積荷を減らして軽荷重で運用するなどの対策が必要になります。

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これらの情報を集めるためにヘリコプターが行うのが観測・情報収集任務です。

OH-6観測ヘリ。機動性を活かして災害時にも活躍する

OH-6観測ヘリ。機動性を活かして災害時にも活躍する

例えば

A村から土砂崩れの対応要請が来ているが施設科機材を持っていくのにトラックが必要だ、A村までの県道は仕様上トラックが通れるが、災害により損傷・障害を受けていないか調べてくれないか。
B村から傷病者の搬送要請が来ている、陸路では間に合わないからヘリを使用する。搬送用のヘリが降りれるポイントが地図上には存在するが、現在も使用可能か調べて欲しい。着陸が難しいならホイスト救助の機材を別途用意する必要がある。

こういった指揮官が部隊を動かす決断をするために必要な「生」の情報を、観測ヘリコプターは実際に飛びまわって集めてきます。

また高高度から全体の行動を把握したり、地上からは死角になる部分を監視するなど、「空からの視点」というのは、陸上部隊がスムーズに動く上で欠かせないものです。

先ほど、物資輸送や救助のヘリが目立つことが多いとも書きましたが、これらのヘリも観測ヘリコプターが必要な情報を先行して集めてくるからこそ、迅速かつ安全な運用が可能になるのです。

リアルタイムの映像を届ける
映像伝送機

指揮官が如何にして戦場の全貌を把握するかというのは、古来より時に勝敗を大きく左右するほどの重要事項であり、古くは地形の利用(高台・丘など)、また飛行機が戦場に投入されたのも、まず第一に「観測」の任務でした。

空中から状況を見渡すというのは、視野の制限が少なく、また俯瞰的な視点を取れることから、非常に大きなメリットがあります。
特にリアルタイムで映像として状況を認識出来れば、それだけ指揮官は迅速に適切な対処を取る事が出来るのです。

これは災害派遣でも重要な任務となります。

一般に災害対策本部や指揮所は、被災地から離れた場所に設置されます。
なので、現場の状況というのは、現場から上がってくる報告に頼らざるを得ない部分が多く、時に現場と本部で状況認識に差が出ることもあるのです。

そこで自衛隊ではUH-1Jヘリコプターに映像伝送装置を設置して、被災地上空に派遣します。
上空のヘリコプターから撮影された映像を、上位指揮官へ直接届ける事で、災害現場で何が起こっているのか、より的確な判断を行うことが出来るのです。

映像伝送機はUH-1Jに装備される

映像伝送機はUH-1Jに装備される

 

こらら観測・情報収集という任務は、どうしても直接目に触れないものなので、場合によっては「上空を飛んでるだけ」に見えるかもしれません。
しかし、その任務は災害に対応する全ての部隊が円滑に行動するために絶対に欠かせないものなのです。

痛飛行機弐