桁違い、規模が違いすぎる、世界の軍隊は「米軍と、それ以外」、などなど、米軍の規模の大きさは様々なところで語られることが多いですが、その中でも特に米軍の軍事力を象徴する存在といえるのが「空母打撃群(旧・空母戦闘群)」と言えます。

空母打撃群が如何に桁違いの戦力を誇るか、その一端を紹介していきます。

空母打撃群の構成

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米海軍空母打撃群は、ニミッツ級原子力航空母艦を旗艦として、それに5隻の随伴艦を交えた、6隻の艦隊です。

基本構成は

  • ニミッツ級航空母艦
  • タイコンデロガ級巡洋艦
  • アーレイバーク級駆逐艦 2隻
  • サプライ級補給艦
USS Fitzgerald, DDG-62

USS Fitzgerald, DDG-62(アーレイバーク級 フィッツジェラルド 横須賀にて)

これにロサンゼルス級攻撃原潜が、水面下で随伴しています。

海上自衛隊のDDHを中心とした護衛隊でも、DDH1隻にDD3隻が随伴するので、数だけで見ればさほど多くないように思われますが、艦隊の中心を担うニミッツ級航空母艦の規模が、あまりに桁違いすぎるのです。

ニミッツ級の航空運用能力

空母1隻に対し、1個空母航空団が配備されますが、その内訳は以下のようになっています。

  • 戦闘攻撃飛行隊(F/A-18 C/D or E/F)×4
  • 電子攻撃飛行隊(EA-18G)×1
  • 早期警戒飛行隊(E-2C or D)×1
  • 海上戦闘ヘリコプター飛行隊(MH-60R)×1
  • 海上攻撃ヘリコプター飛行隊(MH-60S)×1
  • 輸送飛行隊(C-2A)×1

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航空団によって、多少の機体数差はありますが、スーパーホーネットが、およそ45機。
電子戦機グラウラーが約5機、E-2Cホークアイが約5機。輸送機が1機か2機。
さらにシーホークヘリコプターが10機前後。

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どれくらい凄い数なのか、自衛隊の部隊で置き換えてみましょう。
まず45機近いスーパーホーネットの数ですが、これは航空自衛隊の1個航空団(2個飛行隊)の保有機数に相当する数です。
(4機エレメント×4+指揮官機+予備で、おおよそ20数機と言われている)
更にE-2Cも航空自衛隊全体で13機なので、2個ある警戒飛行隊1個に相当する数になります。

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現在、この構成に最も近いのは、第9航空団に警戒飛行隊を抱える那覇基地だと思います。
つまり空母航空団の戦力は、固定翼機だけでも那覇基地の戦力が丸ごと乗っかり、更に電子戦機まで付いてくるようなものなのです。

また海上自衛隊の哨戒ヘリコプター部隊は1個飛行隊の保有機数が10機ほどと言われていますので、空母に搭載されている数と同数ですので、航空自衛隊の基地丸ごとに加えて、海上自衛隊のヘリ飛行隊も一個丸ごと付いてくるということになります。
この「基地が丸ごと動く」のに匹敵する圧倒的なまでの航空戦力が、空母打撃群の規模が「桁違い」と言われる所以です。

ちなみにニミッツ級の乗員数は約5000人。
これに随伴艦乗員も合わせると、合計7000人の乗組員がいると言われています。
人数から見ても、まさに動く基地そのものです。

「空間支配」

先の航空戦力に加えて、空母打撃群は水上艦も含めた複合的な戦術システムとして、その眼の届く範囲全てを「支配」することが出来ると言われています。

空母打撃群を構成するアーレイバーク級及びタイコンデロガ級は、どちらもイージスシステムを搭載しており、そのレーダーによって周辺空域の監視を行う事が可能です。
またレーダーの死角となる、水平線の先を見張るために、必要に応じてE-2C早期警戒機を用いて空中から捜索することも可能であり、あらゆる対空目標も見逃さない、鉄壁の監視体制が敷かれています。

更に対潜哨戒においては、各随伴艦のソナーは勿論、艦載哨戒ヘリコプターによる前進警戒、更には水中から攻撃原潜も見張っており、こちらも隙はありません。

アーレイバーク級にはVLSセルが90個、これが2隻で180個。
(フライトⅡA型では96個に増加)
タイコンデロガ級には同じくVLSセル122個が搭載されており、水上艦搭載のミサイル搭載可能数は編成にもよりますが、最低でも合計300発以上に及びます。

この中に、スタンダードミサイルやシースパロー、アスロック、更にはトマホークなども搭載されており、水上艦による攻撃能力だけでも凄まじい投射量になります。

これに加えて、艦載戦闘機によるミサイル攻撃も可能なので、まさに自らの眼が届く範囲を全て支配化に置く「空間支配」と呼ばれる戦力なのです。

空母打撃群の動く意味

空母打撃群に対して、有効な攻撃を行うには、その支配能力を上回る物量による飽和攻撃が唯一の手段と言われています。

しかし、この圧倒的な能力を上回る攻撃となると、先進国の軍隊をもってしても、空軍及び海軍の戦力の大半を投入しなければならず、あまりにも非現実的です。
また規模の小さな国であれば、空母打撃群の戦力は、自国軍隊の航空海上戦力の全て、あるいはそれ以上の規模となるため、基本的に勝ち目はありません。

まさに現代の「砲艦外交」となるのが、空母打撃群なのです。

2017年4月現在、米海軍は極東地域に空母打撃群の追加派遣を考えているとのニュースもあります。

空母打撃群の動きは、そのまま米軍・米国という存在の動向そのものとも言えるのです。