昨日に引き続き、米軍機による落下物事故の件で書きたいことを。

在日米軍機の整備を大韓航空が担当しているということで、何やら色々な意見が飛び交っています。

しかし筆者は仮に大韓航空の整備品質に問題があったとしても、米軍の責任は避けられないというのが持論です。

この点、筆者なりの持論を述べていきたいと思います。

発注者の品質管理義務

外部に何かしらの作業を委託する上では当然ですが、発注者側にもQM(品質管理)が要求されます。

筆者は仕事柄、品質管理のISO9001に携わっていますが、最新版のISO9001・2015を引用するのであれば以下の通りです。

組織は,外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが,要求事項に適合していることを確実にしなければならない。
(ISO9001・2015改訂 8・4 一般)

噛み砕いて言うなら

「外注業者がちゃんと仕事しているか、自分で責任持って管理しなさい」

ということ。

いわゆる「下請が勝手にやりました。私達は知りません」は品質管理の世界においては言語道断なのです。

米軍機の業務には当然「事故の無いフライト」が求められるでしょう。
ならば「事故を起こさない為に、どのような整備が必要か。その整備の品質はどれほどのものが求められるか」というのをしっかりと定義して、外注するなら外注業者にもそれを守らせろということ。

途中検査、完了検査、受領検査などで発注どおりの作業が行われているかを監視して、必要であれば立ち入りなどを行い、自らが求める品質に改善させるのは発注者である米軍の責任です。

飛行機を飛ばす最終責任者は他ならぬ米軍

飛行機は一定時間の飛行毎に必ず点検を行いますし、何より「飛行前点検(プリフライトチェック)」は絶対に行います。

飛行機は何かあれば、ブレーキを掛けて停止できる車と違い、一度飛びあがれば「無事に着陸するか、墜落するか」の二択です。
そして墜落すれば搭乗員のみならず地上にも大きな被害をもたらす可能性がある、それだけ莫大な運動エネルギーを持った乗り物です。

この機体は本当に地面を離れて飛んでいいのか?
その最終判断は当然、運用する者、自らが責任を持たなければなりません。

整備に重大なミスがあろうと、それを飛ばした時点で米軍が
「この機体は飛べる」
と判断をした事実は変わらないのです。

まとめ

話を整理すると

米軍は自軍の機体整備を外注するなら、その品質管理の責任を負う
飛行前点検で「この機体は飛べる」と判断した以上、当然その責任を負う

この2つの理由により、仮に大韓航空の整備に何かしらの問題があったとしても、それが米軍の責任回避の免罪符にはなり得ないというのが、筆者の持論であります。

そもそも米軍機のトラブルにより何かしらの被害が起きた際、外注業者の整備がどうこうなんていう「内輪の話」は
「お前らが勝手にやれ」
の一言になると思います。
被害者からしてみれば「米軍機による被害に遭った」、それだけなのですから。

何処が整備していようが、そこがどんなミスをしていようが米軍機は「米軍が運用しているもの」であり、米軍機のトラブルは即ち米軍の信用失墜に繋がる、この点を強く意識する必要があると思います。

 

蛇足ながら最後に。
以前、マンションの杭打偽装が発表された際に、元請である三井住友が
「管理を日々行う過程で落ち度はなく、裏切られた」
といった旨の発言をしていたのは、記憶にある方も多いのではないでしょうか。

まさに「下請が勝手にやらかした。むしろ我々も被害者なんだから責めないでほしい」と言わんばかりの会見。

大韓航空の整備に問題があったとして、米軍の責任を軽視することは、この件における三井住友の言い訳を容認することと変わらないと筆者は思うのですが、如何でしょうか。