陸海空自衛隊の航空部隊は基本的に独立していて、それぞれが交わる機会はイベントや共同演習の時くらいしかないですが、航空自衛隊には3自衛隊の中で唯一「陸海空全て」の自衛隊飛行場を飛び回る部隊が存在します。

入間基地をベースとする、航空支援集団隷下・飛行点検隊が、その部隊です。

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飛行点検隊は通称「FC=フライトチェッカー」と呼ばれ、コールサインもフライトチェッカーを使用します。

使用機体は赤と白のチェックマークを施したYS-11FCとU-125の2種類。

ちなみに飛行点検隊で使用される機体番号151のYS-11FCは、およそ半世紀飛び続けている大ベテランの機体です。

飛行場の安全を守る。飛行点検隊の仕事。

現代の航空機では、運用に多数の航法支援施設を用います。

例えば、着陸時に使用するILS(Instrumental Landing System)

電波誘導により視界に制限がある場合でも、正確なコースで滑走路まで誘導してくれるシステムですが、仮にこの電波がズレていたら・・・?
本来の着陸コースを外れて、着陸失敗という事態もありえます。

また、空の上に上がれば当然、道はありません。
近くを飛行するのであればVFR=有視界飛行でも十分ですが、長距離を正確に飛ぼうとすればVOR(VHF Omni directional radio Range)など、特定のポイントから送信される電波を頼りにする必要があります。
しかし、これもやはり電波に異常があれば、本来とは違う方向に飛んで行きかねません。
間違った電波を頼りに進んで、目的地に辿り付けずに燃料切れ、または他機を回避するコースで飛んでいたはずが気付けば異常接近、最悪は空中衝突なんてことも無いとは言い切れません。

これらの航法支援施設が「正確な電波を出している」ことを確認するためには、様々な観測機器を積んだ飛行機を実際に飛ばして、測定を行う必要があります。

飛行点検隊は、この仕事を担っている部隊です。

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航法支援施設は非常に繊細で、その点検飛行には非常に高い知識・技量を必要とされます。

例えば、ILSの電波が左右方向に1度ズレていれば、1km先での水平誤差は、およそ17m。機体丸ごと一つ分横にズレてしまうのです。
故に1/100や1/1000といった非常にシビアな点検が必要なのです。

飛行点検隊は航空自衛隊に属していますが、陸上自衛隊・海上自衛隊には、航法支援施設を点検できる装備が無いため、陸海の航空基地に設置されている機器類は、飛行点検隊が定期的に飛来して、点検飛行を行っています。

3自衛隊の中で、唯一、陸海空全ての航空基地を飛び回るわけです。

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2016年4月には鹿屋基地で飛行点検任務を行っていた043号機が山中に墜落。
乗員6名が命を落とす痛ましい事故もありました。(写真は2015年撮影です)

しかし飛行点検隊の仕事無しには、陸海空、どの自衛隊も航空機の運用は出来ないのです。

 

自衛隊の航空運用能力と空の安全を影で支える、飛行点検隊。

今日も日本の何処かで、繊細な点検業務の為に飛び回っているはずです。