航空自衛隊では現役 国産旅客機YS-11

航空自衛隊では現役 国産旅客機YS-11

国産ジェット旅客機MRJ2号機が先日アメリカへ飛び立ったとのニュースも流れましたが、戦後初の国産旅客機といえばYS-11。
既に民間航空や海上保安庁、海上自衛隊では現役を退いたものの、実は航空自衛隊では現役バリバリで活躍しています。

今回は、そんな航空自衛隊で若い者に負けじと働くYS-11の紹介です。


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最もベテランのYS-11   52-1151号機

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入間基地・飛行点検隊所属機。
通称フライトチェッカー。

オリジナルのダートエンジンを積んだ貴重な機体です。

初飛行はなんと、1965年2月

2018年度の年度初めの時点で御歳53歳になります。

ちなみに元気ハツラツのキャッチコピーでお馴染みのオロナミンCが発売されたのが、ちょうどこの頃だそうで・・・

元々輸送型でしたが、92年に飛行点検隊仕様のYS-11FC(フライトチェッカー)に改修されて、現在も日本全国の航空基地を飛び回っています。

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既に退役 154号機・160号機 

フライトチェッカー仕様のYS-11として151号機と共に長年活躍するも、2019年に退役したのがこの160号機。

160号機は1971年に導入された機体。

こちらも導入当時のダートエンジンをそのまま積んで飛行しています。

2017年の航空祭では華麗なフライトを披露していました。

また、こちらの154号機は2017年の航空祭で片隅に置かれている姿を確認出来たのが最後になっており、この機体も退役済みです。

なのでオリジナルのダートサウンドが聞ける飛行可能なYS-11は飛行点検隊仕様の151号機のみが現存している状態です。

しかし残念な事に、既に引退までのカウントダウンは確実に始まっており、防衛省の平成29年度予算案でYS-11FCの更新機取得費用が計上されています。

29年度調達情報より、後継機の納期は2020年3月とのことで、この後継機の導入を以って、YS-11FCは退役する可能性が高いです。
オリジナルエンジンのYS-11が日本の空を飛ぶのも、残り僅かです。

 

 

導入当時の輸送機仕様 52-1152号機
(平成29年5月 引退)

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美保基地の403飛行隊所属機。

こちらは1965年3月に初飛行した機体です。

飛行点検仕様や電子戦仕様などに改造される機体が多い中、導入当時の人員輸送型(P型)のまま現在に至ります。

ちなみに同じカラーリングでYS-11NT型という、航法訓練機も存在しましたが、こちらは2015年10月に46年のお勤めを終えて引退したそうです。

航空自衛隊 NAMC YS-11 (92-1156) 航空フォト
(FlyTeamさんのページにリンク)

約半世紀に亘り勤め上げた152号機ですが、予備部品などが既に枯渇状態となったこともあり、引退が決定。
平成29年の美保基地航空祭で最後の展示飛行を行った後、生まれ故郷である愛知県・小牧の飛行場へと最後のフライトを行いました。
飛び続けること、実に52年。本当にお疲れ様でした。

現在は小牧の航空ミュージアムの展示機として大事に展示されています。

エンジンを換え飛び続けるスーパーYS

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現役のYS-11のうち、EA型とEB型については通称「スーパーYS」と呼ばれる能力向上改修が施されています。
エンジンは元のYS-11より出力が高いGE製になり、他のYSと違う独特のエンジン音が特徴的です。
またプロペラは4枚⇒3枚に換装されたことで見た目にも他のYSとはかなり違って見えます。

ちなみに先の写真がEA型で電子戦訓練機(電波妨害を故意に行い、自衛隊部隊に対し電子戦想定の訓練環境を作る機体)。

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こっちが電子情報収集機(空中で様々な電波情報を集める機体)のEB型です。
自衛隊機は数あれど、任務の特性上、E-767早期警戒管制機と並んで、その情報がほとんど出てこない謎に満ちた機体です。

ちなみにEA型とEB型は、機体の上下にアンテナなどが入った「コブ」があるか無いかで見分けが付きます。

どちらも入間基地の所属です。

 

多くの技術者が、日の丸旅客機の復活を夢見て作り上げたYS-11。
自衛隊機は飛行時間の関係で、民間機よりは運用期間が長めですが、それでも流石に半世紀の時間を経て退役が着実に進んでいます。

特にエンジンなどを改修していないオリジナル機は、あと数年のうちに役目を終えると思われますので、興味のある方は是非とも入間基地へ足を運んでみてください。

※補足
平成29年5月29日
152号機の退役を受けて、記事の内容を一部変更しました。