航空救難団・百里救難隊

航空救難団・百里救難隊

皆さんは「航空救難団」という組織を御存知でしょうか。

消防の「ハイパーレスキュー」、海上保安庁の「潜水士・海猿」などは有名ですが、航空救難団の名はあまり知られていないかもしれません。

しかし彼等は、この日本において「救難・最後の砦」と言われるほどの、重要な存在なのです。

航空救難団とは?

航空救難団は航空自衛隊の本部組織にあたる、「航空総隊」が直接管理する部隊で、入間基地を司令部に、全国10箇所に「救難隊」を設けています。

また大型ヘリコプターCH-47Jを使用した「輸送隊」も設けています。
全国の基地へ輸送任務なども併行して実施している他、大規模災害時の緊急輸送任務や空中消火活動なども担当します。

CH-47J

航空救難団・救難隊(以下、航空救難団)の任務は
「自衛隊の航空機が墜落した際に、乗員の救助を行う」
つまり航空事故を想定した、専門のレスキュー隊です。

しかし、自衛隊機は、あらゆる環境で飛行訓練を行います。
山奥・海上、時に雪山でも訓練を行う自衛隊機は、当然それらの状況で墜落する危険性もある訳です。
それを救助する航空救難団もまた、このあらゆる状況下に対応することを求められることになります。

しかし航空救難団の編成は非常にシンプルです。

航空救難団の装備する航空機

彼等の乗り込む航空機の一つが

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BAe125ビジネスジェットベースのU-125A捜索救難機。
暗視レーダーなどの優れた「眼」を持ちます。

事故発生時に現場へ急行して、速やかに位置を特定。
後述するヘリチームへ情報を伝えるほか、必要に応じて救難物資を現場に投下して、要救助者をサポートします。

そして、もう一つが

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UH-60J救難ヘリコプター。
U-125Aが発見した要救助者の元へ向かい、速やかに救助を行います。

航空救難団の装備する航空機は、僅かにこの2種類だけです。

これだけで、先に述べた、山奥・海上・雪山といったあらゆる状況に対応するのが彼等の任務なのです。

中でも、直接救助者の元へ向かう救難員、通称「メディック」は凄まじい技術を必要とします。

航空救難団の要・救難員「メディック」

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一般にヘリコプターの救難というと、このようなロープを使った降下を想像されるかと思います。
当然、航空救難団も、これを用いた救助を行うのですが、彼等はこれに加えて

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必要ならばパラシュートで救助者の元へ降り立ちます。彼等の行く場所が、必ずしもヘリが降りれる、近づけるとは限りません。
しかし、すぐにでも降り立って応急措置を行わなければならない状況もあり得ます。

パラシュート降下技能を修得するため、彼等は救難員を目指すための訓練期間中に「第1空挺団」での訓練も積みます。

この他にも海上自衛隊の潜水士課程や、冬季遊撃レンジャーに匹敵するような雪山での過酷な訓練も課されます。

その訓練は「精神の限界を乗り越える、必ず助けるという強い精神力を養う」ことが目的とされることから、過酷に過酷を極め、自衛隊の中で最も厳しい訓練と称されることもあるそうです。

更に、極限の環境下に医者や看護師を連れて行くことは出来ないので、彼ら自身が、その役割も担います。
その為、要救助者を病院まで搬送出来る措置を行えるよう、救急救命士や准看護師に匹敵する医療技術・知識を備える必要があるのです。

まさに文武両道の超人といわれる領域です。

また彼等は有事の際には「コンバット・レスキュー」を受け持ちます。

例えば敵国が日本へ上陸した際に、その防衛戦闘で撃墜された航空機があれば、敵の間近であっても助けにいくのが任務です。

「救難員」であると同時に、「優れたレンジャー隊員」でもあるのです。

救難員を運ぶパイロットも、また凄腕

あらゆる環境に対応するということは当然、航空機も、それに対応しなければなりません。

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これは航空救難団のU-125AとUH-60Jが併走飛行を披露しているところです。

一見、普通に飛んでいるように見えますがU-125Aは翼が揚力を失う、失速領域ギリギリ、UH-60Jは機体の性能限界ギリギリの最高速度で飛行しないと、同じ速度で飛ぶことは出来ないのです。

つまり、お互い非常にシビアなコントロールを行いながら、速度をしっかり合わせているということになります。
これには非常に高度な操縦技術と連携が必要です。

また風速20mの暴風で船からの救助事例などもあり、高度なホバリング技能を持っていることが伺えます。

何故、このような救難隊が必要か?

彼等の自衛隊における存在は
「どんな過酷な状況に置かれても、必ず助けが来る」
という「安心感」です。

パイロットは時に危険な任務に従事することもあります。
そんな時、助けに来てくれる安心感の有無は、士気に大きく関わるのです。

「救難・最後の砦」

航空救難団・救難隊は自衛隊機の事故対応を主任務としていますが、これ以外での出動事例も多数あります。

一般に救難の要請が入ると、警察・消防・海上保安庁などが対応しますが、彼等の装備やスキルでは対応しきれない事例が発生した場合、災害派遣扱いで航空救難団に出動要請が掛かることがあります。

特に夜間・悪天候・発生地点が遠いなどの場合、消防や警察のヘリコプターでは対処が難しく、大型で航続距離の長いUH-60Jと、あらゆる環境で訓練を重ねている救難隊のクルー達が頼みの綱になります。

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東京消防庁・ヘリ5番機「つばめ」

こう書くと航空救難団>消防・警察などと考えてしまう方もいるようですが、それは大きな間違いです。

警察や消防が高いスキルを持ち、普段の救助に尽力しているからこそ、航空救難団は警察や消防が出来ないような、更に危険な極限の環境を想定した厳しい訓練を行い、その発生に備えることが出来るのです。

また大規模災害の際にも、災害派遣として出動が掛かることもあります。

近年ですと、御嶽山噴火・鬼怒川大洪水・東日本大震災などで、彼等が出動していました。

まとめ

最後に彼等の部隊信念を御紹介します。

That others may live

「誰かを生かすために生きろ、かけがえのない命を救うために」
といった意味だそうです。
部隊創設時にお手本とした、米軍の航空救難チームの信念をそのまま使わせてもらっているとのこと。

基地祭では例年、航空救難団の飛行展示を行っています。

是非とも一度、ご覧になってみてください。