RC-2の配備計画とYS-11EBの今後(2024年度末時点)

RC-2の配備計画とYS-11EBの今後(2024年度末時点)

この春を持って、退役する予定の電子戦訓練支援機EC-1

カモノハシとも呼ばれる独特のフォルムの機体は長いこと表舞台に出て来る機会が限られていましたが、退役を目前にして航空祭や展示の機会も増え、多くの人に見送られて空から去ろうとしています。

さて、一方で未だに航空祭などの舞台はおろか、基地のHPにも載っていないのが同じく電子戦を担う灰色のYS-11。

電子戦訓練機のEAと電子情報収集機のEB型がありますが、このうちEA型については令和6年度末(つまり今月)の用途廃止を示す資料が既にあり、恐らくこちらはEC-1と同時に退役と思われます。

 

航空自衛隊入間基地に関する令和6年度概算要求の主要事業について
(日本共産党・塩川衆院議員のHPより)

これらの資料にEB型の退役については記載が見られないことから、少なくともEC-1やYS-11EAと同時にEB型が退役することは無さそうです。

残るEB型のYS-11、此方がいつ頃まで飛ぶことになりそうか、後継機の配備予定などから推察してみます。

YS-11の定期整備は継続中

その機体を今後も使い続けるかどうか?という見通しの一つとなるのが、機体の定期整備(IRAN)の予算が計上されているか?という点になります。

航空自衛隊の機体は3年または4年ほどの間隔で製造メーカーなどに戻り機体の大掛かりな定期整備を受けますが、当然かなりの予算を使いますので整備を終えた機体がすぐに退役、ということは考えにくいです。
(車で言えば、すぐに乗り換え・廃車予定のある車の車検を通すか?というのと同じ)

そんなYS-11の定期整備ですが2023年12月に1件契約されているのが官公庁の入札契約情報で確認することが出来ます。
また先日(2025年2月)日本飛行機(株)の厚木工場でYS-11EBの161号機が飛行している姿が目撃されており、恐らくはこれが2023年度契約分の定期整備を終えた機体かと思われます。

また今年度、2024年度予算にもYS-11機体定期修理の調達予定が入っており、此方は2026年2月終了予定との記載が確認できます(ただし現時点で契約締結は確認できず)

なので予算が予定通りに執行されれば、少なくとも来年の2月に定期整備から出て来るYS-11が1機あることは確かです。
定期整備の間隔が3年としても、2029年の2月ごろまでは使える機体が存在することになります。

後継機はC-2の派生型・RC-2

YS-11EBの後継を担うのはC-2輸送機を改造したRC-2という機体になりますが2025年3月現在、このRC-2の配備状況は1号機(元C-2の2号機・機体番号202)が1機のみです。

ではこの1号機以降の配備計画はどうなっているのか?と言うと

2021年度~2023年度では機体ではなく構成品(搭載機器など)の調達に留まり、2024年度予算で2号機、来年度の2025年度予算で3号機が計上されているという状態です。

つまり・・・YS-11EBの後継となるRC-2は2機目がやっと今年作り始めたばかりで、3機目に至ってはまだ影も形も存在していません。

(ちなみに1号機は2025年3月現在、入間ではなく岐阜で定期整備を受けているようです)

なのでYS-11EBは退役しようにも、まだまだ後継機が来るのを待たないとならない状況です。

なお2024年度予算の2号機については地元議員のHPにて2028年配備とする記載があります。

と、なると3号機は早くても更にその1年後。

元々YS-11EBは4機体制(現在1機除籍済みのため3機現存)でしたが、現在の防衛力整備計画ではRC-2の調達予定は3機となっており、この3号機の配備を以て電波情報収集機の機種変更を完了すると思われますが、先の2号機の配備時期を考えると3機体制が揃うのは順調に進んだとしても2029年になるでしょう。
(3号機は改造ではなく新造と言われていることや、スタンドオフ電子戦機SOJの製造事情により更に遅れる可能性もあり得る)

まとめ

定期整備の状況や計画から推定するに、少なくとも2025年2月時点で日本飛行機で定期整備している機体が1機。
更に2026年2月に整備を終えるYS-11が1機存在する可能性が高い。
定期整備を36か月・3年間隔としても、2027年度末(2028年3月)か2028年度末(2029年3月)頃まで飛べる機体がある。

後継機RC-2は3機配備予定。
2024度予算の2号機が来るのが2028年予定、3号機は次年度予算なので早くても更に1年後の2029年と推定。

以上を併せて考えると、RC-2への転換が完全に完了する2029年(2028年度末?)頃、機体の老朽化などにより退役を早めるとしても後継の2号機が配備される2028年まではYS-11が最低でも1機は飛ぶことになるのではないか?というのが筆者なりの推測です。

ちなみに、現在現役で残っているYS-11EBは155号機・159号機・161号機の3機ですが、先日の入間基地開放行事の際に駐機場に並んでいるのが確認された機体が159号機、厚木基地で定期整備明けと思われる姿が目撃されているのが161号機。もし令和6年度予算の定期整備に入る機体がもう1機の155号機であれば、この機体の製造は1968年
整備を終えて2028年まで飛び続けることになったら、還暦を迎えることになるかもしれません。