仮想敵役というと「アグレス」と呼ばれる航空自衛隊の飛行教導群・アグレッサーが有名ですが、実は陸上自衛隊にも「敵役」を演じる部隊があるのをご存知でしょうか。

今回は、陸自の中でこの部隊だけという特殊な迷彩服を纏った部隊、評価支援隊を紹介していきます。

FTC富士訓練センター

総火演が行われる富士エリア。
その中の北富士駐屯地に、富士学校隷下の部隊「部隊訓練評価隊」、通称・富士訓練センターという部隊があります。

この部隊は、いわゆる「バトラー」発光器と受信器を利用した模擬交戦装置を利用した模擬戦を各地の部隊と行い、その内容を部隊教育に役立てるという役割を担っています。

バトラー装着状態の隊員。赤い丸の部分は簡易ディスプレイ

評価支援隊は、その中でも「敵役」を担う実働部隊として存在します。

評価支援隊

評価支援隊は富士教導団・普通科教導連隊と同じ滝ヶ原駐屯地に所属しています。

創立記念行事の際の様子。

奥に並んでいる赤いスカーフが普通科教導連隊。
そして手前のちょっと違う戦闘服を着ている隊員達が評価支援隊。

こうやって見比べてみると、明らかに通常の陸自迷彩とは異なる模様を着ていることが分かるかと思います。

この迷彩服は「評価支援隊用迷彩服」として、評価支援隊専用のものとなっています。「一目で敵と分かる」ために、他の部隊とは異なるものが必要なのです。

こちらは評価支援隊・隊本部の指揮車両。

横線2本の指揮官旗を掲げていることから評価支援隊の扱いは大隊相当(部隊長は2等陸佐)となっていることが分かります。
なお訓練時には「機械化大隊」として行動するそうです。

戦車や装甲車も特殊?

特殊なのは迷彩服だけではありません。

評価支援隊には74式戦車及び96式装輪装甲車が配備されていますが、これらの車両も「敵」と一目で分かる塗装が施されています。

74式戦車の評価支援隊バージョン。

他部隊の塗装では用いられない「黒」の塗装を使い、その比率を大きくする事で明らかに異なる雰囲気を放っています。

ちなみに、こちらが通常塗装の74式です。見比べてみると、かなり雰囲気が違うのがお分かりいただけるかと思います。

評価支援隊の74の砲塔周りを拡大。

戦車用のバトラー装置を各所に付けているのも特徴的ですね。

なお74式戦車は近いうちに引退すると思われますが、評価支援隊の戦車がどうなるのか今のところ情報を聞きません。

10式が配備されるのか、あるいは戦車定数削減の煽りで機動戦闘車を配備するのか、戦車戦闘を想定する演習の時だけ富士教導団などから支援を受けるのか。

この辺は情報を待ちたいと思います。

96式装輪装甲車の評価支援隊仕様。
これも黒の塗装を用いる事で、通常塗装とは異なる雰囲気になっています。

こちらも通常塗装と見比べると違いがよく分かりますね。

評価支援隊は普段、表に出てくることはありませんが、滝ヶ原駐屯地の駐屯地祭・創立記念行事において、観閲行進や訓練などを見ることが出来ます。

全国でここだけというレアな部隊ですので、機会があれば一度見てみては?

※参考資料
滝ヶ原駐屯地ホームページ