毎年8月に行われる富士山の麓で行われる富士総合火力演習、通称・総火演。

最近は自衛隊人気もあって、特に駐車場付きのチケットは、とんでもないプレミアチケットと化しておりますが・・・

総火演を担当するのは主に「富士教導団」と呼ばれる部隊です。
(他に関東各所の部隊なども参加します)

普段はあまり馴染みの無い、この富士教導団、どのような組織なのか解説していきます。

防衛大臣直轄・富士学校の一部

一般に自衛隊の部隊は、防衛大臣及び、それを補佐する陸上幕僚長の下に、各方面隊の総監が置かれ、さらにその下に師団長→連隊長と続くのが一般的ですが、富士教導団が属する富士学校は、それ自体が防衛大臣直下の指揮系統に置かれています。

これは幹部学校など、他の教育機関も同様です。

なお富士学校のトップは「陸将」が配置されます。
幕僚長に次ぐ、非常に高い階級の方なのです。

富士学校は普通科(歩兵)・機甲科(戦車)・特科(砲撃)に関する教育の場として設置されている機関で、特に「幹部自衛官に対する実務教育機関」としての性格を強く持ちます。

富士教導団は、その富士学校の一部として設置されている部隊です。

  • 普通科教導連隊
  • 特科教導隊
  • 戦車教導隊
  • 偵察教導隊

この他に、支援施設隊などが置かれています。

支援施設隊は「富士教導団の部隊が動くために必要な施設構築」というのが任務です。
ちなみに総火演の会場も、此方が主となって整備しています。

毎年、総火演に登場する地雷原処理車も富士教導団支援施設隊の所属

富士教導団の任務とは

陸上部隊の指揮・運用は、どれだけ座学やシュミレーションで学んでも、実際に動かしてみないことには十分な教育効果が得られません。

幹部自衛官も部隊に配属されれば小隊長または部隊によっては中隊長などとして、実際に現場の部隊に混じって戦うのです。

また戦車小隊長となれば、自身も隊長車に車長として乗り込み、隊車両の指揮を取らなければなりません。

これらの教育を行うには「実際に訓練幹部の命令で動いてくれる部隊」が必要です。

実は富士教導団の任務は、主に、この「幹部の教育に必要な部隊」というところが大きいのです。

ジープタイプに搭載された106mm無反動砲。
なかなか見る機会の無い装備だが、装備として存在する以上は、教育も必要ということで、富士教導団には未だ健在

富士教導団に求められるもの

「教育」という目的の為に存在する部隊ゆえに、富士教導団の各部隊には「高いレベルで動く」ことが求められます。

ここで言うレベルが高いとは

「模範教本通りの動きを行うことが出来る」

という意味合いが強いです。

(筆者の同僚の元陸曰く「教科書通りに、完璧に動ける人達」とのこと)

総火演で見事な精度の砲撃を披露するのは「特科教導隊」

しかし「基本に忠実」「規定どおりに完璧に動く」というのが、どれだけ難しいかは容易に想像が付くかと思います。
(それを行うだけの十分な体力も当然必要です)

なので必然的に各地の部隊から、訓練や教育を良い成績で収めた隊員が多く集まります。

また、富士教導団の各部隊は「全国の部隊の模範」として位置付けられているため、送り出す部隊としても、それに相応しい隊員を推薦する必要があります。

空挺団などとは、また少し違った意味合いでの、選ばれた集団なのです。