自衛隊の役職や組織でよく聞く「幕僚」という言葉。

例えば陸海空各自衛隊のトップは「陸上幕僚長」「海上幕僚長」「航空幕僚長」、他にも○○幕僚と名の付く役職や組織は多数あります。

今回は、この「幕僚」と言われる方達の業務について解説していきます。

軍事組織では司令官は絶対に1名

軍事組織というのは、とにかく指揮命令系統が確実に機能することを最優先としてシステムが構築されています。その為、どんな状況下にあっても「自分に命令を出す上官は1人」というのが絶対原則です。

小隊長は中隊長から、中隊長は大隊長または連隊長から、連隊長は師団長から・・・
この繰り返しで、末端の兵士1人までピラミッド構造になっているのが、軍事組織の特徴です。

なので、1000人の部下を抱える普通科連隊長であっても、6000人を抱える師団長であっても、自らが指揮する隷下部隊の指揮官への命令は、全て自分1人の責任で出す必要があります。

しかし、中隊規模であれば所管範囲も限定的ですが、これが師団規模とも、ありとあらゆる兵科を取りまとめることになります。
とてもじゃないですが、1人で全ての調整をすることなど不可能なので、自分の考えを具体的に検討する「補佐役」が必要になります。
この指揮官の補佐を務めるところが「幕僚」という役割なのです。

なお諸外国では「参謀」と呼ばれるポジションに相当します。

幕僚は、どんなに偉くても部隊指揮の権限が無い

幕僚という言葉で真っ先に思いつくのは、陸海空のそれぞれのトップになる「○○幕僚長」ですが、これら幕僚長は、各自衛隊のトップでありながら

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航空自衛隊を例に取ると、このような組織図になっています。
つまり航空幕僚長が航空自衛隊の最高役職ですが、航空総隊の司令官は防衛大臣から直接命令を受けるという形になっているのです。
ちなみに陸上自衛隊の場合は、防衛大臣の隷下は方面総監、海上自衛隊は自衛艦隊司令官となります。

これは方面隊・師団・連隊など全てにおいて言える構造で、幕僚は部隊の指揮命令系統には組み込まれず、あくまでも「指揮官の補佐」という役割に徹します。

陸海空それぞれの最高位である幕僚長の場合は「防衛大臣の補佐」という役割なのです。

各幕僚組織は指揮官の命令により具体的な計画を立案・調整して、指揮官に「この計画でどうですか?」と提出する。
その計画を承諾した指揮官は隷下の部隊に命令を下す。
計画を練るのは幕僚の仕事ですが、実際に「決断」して命令を下すのは指揮官の仕事なのです。

実際、どんな業務をやっている?

近代の軍事組織は非常に高度かつ複雑化しているため、その行動についても様々な要素が絡んできます。

人事、情報、作戦、兵站(後方)、通信

これらの要素を担当する「一般幕僚」または「調整幕僚」に加えて

工兵(施設)、輸送、会計、法務etc…

を担当する特別幕僚も必要となります。

ちなみに自衛隊の場合、軍事組織としてのイメージを和らげるためか、陸上自衛隊を例に取ると

  • 人事・・・第1部長
  • 情報・・・第2部長
  • 運用(作戦)・・・第3部長
  • 補給(兵站)・・・第4部長

などと、独特の呼び方がされています。

他にも総務課、会計課、広報室長など、さながら会社のような呼び名の役職が多数存在していますが、どれも「指揮官の補佐役」という幕僚としての仕事であることには変わりありません。

これらの幕僚を「幕僚長」が幕僚組織の責任者として総合的にまとめあげているのです。