日本の領海を守る海上自衛隊の護衛艦。

その艦上には、任務遂行のための様々な装備品が積まれています。

どのような用途の、どのような装備品が積まれているか。

解説していきたいと思います。

速射砲

54口径127mm速射砲を2門搭載した「しらね型」が退役したため、2018年現在現役の艦は「はたかぜ型」を除き、全て単装(砲身が1つのみ)速射砲を1門のみ搭載しています。
過去にはいわゆる「連装砲」を装備した艦もありました。

現役艦で採用されているのは76mm(3インチ)か127mm(5インチ)のどちらかで、127mmはイタリアのオート・メラーラ127mm速射砲と、アメリカのMk42またはMk45・5インチ砲が存在します。

かつて軍艦の主砲といえば敵艦への砲撃を加えるものでしたが、現代の速射砲は基本的に対水上戦闘を担うことはありません。
主砲の射程より遥か彼方からミサイルを撃たれるか、または水中に潜む潜水艦が魚雷を撃ってくるかが攻撃の主流であり、敵・味方共に砲の射程内で交戦するということがまず起こりえないためです。

速射砲はレーダーで探知したミサイルなど対空目標に対して、近接信管で攻撃を加えます。つまり「飛んでくるものを撃ち落す」ための対空砲なのです。

ただし、第十雄洋丸事件(炎上したタンカーを海上自衛隊が撃沈処分した出来事)において対水上目標に主砲を使用している事例もあるので、対水上目標に速射砲を全く使用しないというわけではないようです。
(海域での睨み合いから戦闘・衝突に発展するという可能性も無きにしもあらずだと思いますので)

また陸地に対する艦砲射撃もMk45の5インチ砲を搭載する艦であれば可能で、訓練の映像なども一部公開されています。

艦対空ミサイル

順番が前後しますが護衛艦に対し敵性と判定される航空脅威、主に対艦ミサイルが接近した場合、まず最初に電子攻撃(いわゆるジャミング)が開始され、ミサイルの誘導機能を麻痺・停止させようと試みます。

しかし、相手側はジャミングを受けたと判定すると自動で電波の届かないように飛行経路を変更、そうすると今度は対空ミサイルにより物理的に撃墜を試みます。

海上自衛隊ではこの迎撃用ミサイルとして、主にRIM-7シースパローミサイル・短SAMを使用しています。
(ひゅうが型及びあきづき型では発展型シースパローRIM-162 ESSMを装備)

上画像はあさぎり型の短SAM8連装発射機ですが、これ以降の艦ではVLSとなっており、ミサイル発射機はVLSの蓋の下となってしまっています。

またいわゆる「イージス艦」と呼ばれるイージスシステム搭載艦はシースパローより射程の遥かに長いスタンダードミサイルSM-2を装備します。
これはシースパローを装備する艦の対空戦闘が「個艦防御」、すなわち自分で自分を守ることであるのに対し、イージスシステムの役割は「艦隊防空」、特にヘリコプター搭載護衛艦などの高価値目標を守る事にあるためです。

対潜ミサイル

潜水艦を撃沈するための短魚雷(水上艦を撃沈するための長魚雷と比較して小型のもの)を搭載し、潜水艦の潜む海域まで飛翔。
そこで魚雷を切り離して潜水艦に攻撃を加えるためのミサイルです。

海上自衛隊では主にアスロック(投射機型RUR-5、VLS型RUM-139)が使用されていますが、最近「新アスロック」07式垂直発射魚雷投射ロケットも開発され、あきづき型2番艦以降に搭載が進んでいます。

水中を進む魚雷は速度が非常に遅いため、それと比較して敵に命中するまでの時間を大幅に短縮出来るのが利点です。

短魚雷発射管

アスロックのようにミサイルではなく、魚雷そのものを筒から打ち出す魚雷発射管。

正式名称はMk32魚雷発射管をライセンス生産した「68式3連装短魚雷発射管」で、68式の名が示す通り50年近く使われ続けていながら最新のあさひ型護衛艦にも搭載されるという非常に息の長い武装です。
海上自衛隊で使用している水上艦搭載用短魚雷は全て打ち出すことが可能となっています。

各管には番号が振られており、攻撃時には何番の魚雷を撃つかが指定されるようになっています。ちなみに左舷側(上画像)が偶数、右舷側が奇数です。

艦艇公開の際に魚雷発射管担当の方からお話を聞いたのですが

「とにかくシンプルで信頼性が高い」

のが絶対的な強みだとのこと。

打ち出すための圧縮空気さえ充填出来れば、ほぼ確実に打ち出せる。

故障=生死に関わる海の上において「絶対に動く」という信頼は、何物にも代えがたいのかもしれません。

艦対艦ミサイル

敵水上艦に対して攻撃を行う対艦ミサイルとして、ハープーンを装備しています。

他のミサイルと違い、艦の中央付近・左右両舷に向かい合うような形で固定設置されているので、発射する際には進行方向に対して「横」に打ち出すことになります。

横須賀などで見学していると左右両舷4発ずつ積んでる場合と3発ずつの場合があらいますが、何をもって搭載弾数を決めているのかは謎です。

CIWS

CIWS・近接防御火器システム。
海上自衛隊に搭載されているのはファランクス、20mm高性能機関砲。

戦闘機の搭載機銃としても使われるM61バルカンを装備、シースパローや速射砲で迎撃できなかったミサイルを機銃で撃墜する近接防御システムとして多くの護衛艦に装備されています。

上の画像が20mm機関砲弾。
護衛艦で用いられるのは戦車砲弾などにも用いられるタングステンを使用した特殊な弾で、結構な値段がすると言われていますが契約情報で調達数量が公表されていないため正確な価格は不明です。

この弾を1秒間に50発以上の速度で撃ち出します。
1分も経たずに全て撃ちつくしてしまう計算ですが、そもそもCIWSが作動するというのは「非常に危機的」な状態なので、これが1分以上の作動を求められるというのは他の迎撃手段が全く効果を果たしていない状況でしょう。
サッカーで言えばディフェンダーが全員抜かれて、ゴールキーパーと1対1という場面です。

SeaRAM

いずも型護衛艦にのみ搭載されている装備で、機関砲ではなく小型のミサイルにより接近するミサイルを撃ち落す防御用火器です。

20mm機関砲の運動エネルギーではミサイルを確実に撃ち落せない可能性があるため、より確実に相手を撃ち落す目的で装備されています。

 

他にも掃海艇用の武装など様々な装備品がありますが、それはまた別の機会に紹介させていただければと思います。