陸上自衛隊にも「船舶免許」がある
文字通り「陸」を活動の舞台とする陸上自衛隊。
その任務には戦車・装甲車・大型トラックなど様々な車両のみならずヘリコプターなども活躍しますが、実はそんな陸上自衛隊にも「船舶免許」が存在するというのをご存じでしょうか?
自衛隊の船舶免許
民間の船舶では小さなボートなどでは「小型船舶操縦士」、大型の船舶では「海技士」の免状が存在しますが、自衛隊で船に乗り込む隊員は「船舶の配員の基準に関する訓令」により、その有するべき資格が定められています。
(なお自衛隊内部での正確な呼び方は「船舶免許」ではなく「海技資格」ですが、説明を分かりやすくするためにあえて文中では「船舶免許」の用語を使います)
この訓令は、ほぼ民間の免状の内容と合致しており、機関(3分隊)の場合には機関1~4級、航海(2分隊)の場合には運航1級~4級といった具合です。
また「操縦小型1級」「操縦小型2級」というカテゴリーも定められていますが、これはそれぞれ小型船舶操縦士の1級と2級に該当します。
陸上自衛隊の船舶免許
さて、さきほどの訓令の第1条を見てみると
第1条
この訓令は、陸上自衛隊、海上自衛隊及び防衛大学校の使用する船舶(水陸両用車両を含み、無機力の船舶を除く。以下「船舶」という。)の配員の基準に関し必要な事項を定めるものとする。
(船舶の配員の基準に関する訓令)
そう、自衛隊の船舶免許を定めるルールには「陸上自衛隊」も対象であるとはっきりと書いてあるのです。
但し陸上自衛隊で取れる船舶免許は
- 操縦小型1級(1級小型船舶相当)
- 操縦小型2級(2級小型船舶相当)
- 操縦水陸両用車級
の3つだけです。
ちなみに『操縦水陸両用車級』の免許は民間には存在しません。自衛隊内部の限定免許です。
何故、陸自に船舶免許が必要?
では、陸上自衛隊で船舶免許を持っている人達は、一体どんな仕事をしているのか。
まず1つは「水陸両用の車両」に乗り込む場合。
最近導入された水陸機動団用のAAV-7の他、陸上自衛隊の施設科部隊に配備されている94式水際地雷敷設装置も水陸両用車両に該当するため、水上を航行する場合には船舶免許が必要です。
また船外機を搭載したボートも一定のサイズ・出力を超えた場合には「動力を有する船」となるので、これも免許の対象となります。
陸をメインに働く陸上自衛隊ですが、実は意外と「船」を使う機会も多いのです。
コメントを書く