自衛隊で使う「色」って何が基準?自衛隊の色の規格色々
OD色や迷彩色など、自衛隊で使われる様々な塗装の「色」
色を指定するには、様々な規格・指定法がありますが、自衛隊で使っている色は一体何を基準に決められているのか。
今回は自衛隊で使う「色」のお話です。
防衛省規格・Z8201E
防衛省で使われる色の基準を定めたものの一つが、防衛省規格Z8201Eと呼ばれる規格です。
例えば陸上自衛隊の車両などで使用されている「OD色」は上記のように色番号1314・2314・3314と指定されています。
ちなみに基準値(色記号)と書かれているのは「マンセル値」と呼ばれる色の指定方法です。
「色番号」と書かれた4桁の番号には読み方があり
1桁目・・・ツヤの有無
- ツヤ有り
- 半ツヤ
- ツヤ無し
2桁目・・・色相系
- 赤系
- 黄赤系
- 黄系
- 緑系
- 青系
- 茶色系
- 灰色系
- 白・黒
- 金属色
3桁目以降は、その色の固有の番号となります。
OD色の場合にはツヤ有り・半ツヤ・ツヤ無しのいずれかで、黄系の14番という読み方です。
この色番号で指定されているもので、OD色の他に代表的なものとしては「護衛艦の塗装」があります。
護衛艦の外舷塗装は、この規格における「灰色(2)2704」となっています。
(防衛省仕様書DSP・K5204F・艦船外げん用フタル酸樹脂エナメル、DSP・K5221・艦船用ウレタン樹脂系上塗り塗料など、艦艇用塗装の調達仕様書より)
なお甲板については同規格の2705・暗灰色です。
米国規格による指定
では、自衛隊の装備が全てこの防衛省規格に則っているのかというと、そう一筋縄でもいきません。
海上自衛隊で使用されている哨戒機P-1、この塗装は『グレイ(ツヤ有り)15526』と指定されています。
しかし先ほどの防衛省規格は4桁の番号、この5桁の番号は何処から・・・?
実はこの色番号、AMS STANDARD 595(旧Federal Standard595)という米国の規格に基づく色番号なのです。
海上自衛隊の航空機は、この米国規格に基づく色指定が多用されており、例えばUS-2飛行艇の青い部分の塗装は『ダークブルー(つや消し)35045』
SH-60Kヘリコプターは『グレイ (ツヤ消し)36495』や『アンティンドホワイト(ツヤ消し)37925』などと指定されています。
(SH-60JとSH-60Kで塗装色は同じものを指定)
民間規格による指定
自衛隊の調達では、これらの規格と併せて民間規格による指定も存在します。
例えばF-35飛行隊に受け継がれた、第302飛行隊のオジロワシマーク。
この仕様は百里LPS-B992306という仕様書で定められていますが、その色については
- 白:DIC F26
- 黒:DIC 582
- 黄:DIC 166(下地に白)
- 赤:DIC 235(下地に白)
- 青:DIC 433(下地に白)
と規定されています。
これらは塗料メーカーとして有名なDIC株式会社(旧:大日本インキ)の色番号です。
その他にはゲートガード(基地内に展示されている退役機)の塗装に際して、日塗工の塗料番号で指定されている事例なども存在します。
また消防車両などにおいて「契約の相手方の仕様による赤色」、すなわちメーカー側で「赤」と定める色で納品しても良いという仕様書も。
民生品などをほぼそのまま使用しているものは、防衛省規格の塗装ではなく、民間規格が用いられる傾向が強いようです。
戦闘機の色は?
塗装というとやはり気になる方が多いのは「戦闘機」のカラーリングかと思います。
航空自衛隊の戦闘機に使われている色を知ることが出来るのか?
結論を言ってしまうと「正確なことは分からない」のが現状です。
航空自衛隊の航空機に用いられる塗装は『航空自衛隊所属航空機の標識、マーキング及び外面塗装の基準』という文書により管理されていますが、この文書の管理番号が『J.T.O 1-1-4』
J.T.Oは『技術指令書』、自衛隊内部でのマニュアルにあたる文書の為、一般には公開されていないのです。
ただし航空機用の塗料として『DSPK5311F・航空機用アクリルラッカーエナメル(つや有)』などの資料は色番号と共に公開されていることから「自衛隊で使われている航空機用の塗料」の情報を探ることは可能です。
あとは実際の色に近いものをリストの中から選んでいけば「近い色」は再現することが出来るかもしれません。
コメントを書く