4代目、3代目。時代を超えて引き継がれる艦名。
新しく迎えた令和の時代。
変わるものもあれば、変わらぬものも。
そして変わりながらも引き継がれるものもあります。
海上自衛隊の艦艇の名は、旧日本海軍の命名規則をほぼそのまま残しており、時代を越えて引き継がれている名前が多々あります。
今回はそんな、時代を引き継いだ名前を持つ艦艇を紹介していきます。
4代目 むらさめ型
旧海軍、海上自衛隊を通して2019年現在、同じ名前が最も多く使われた回数は「4回」が最多です。
その一番多く使われている名前は、DD:汎用護衛艦として活躍している「むらさめ型」の護衛艦。
ネームシップの「むらさめ」を見ると
- 春雨型駆逐艦「村雨」・・・1903年就役
- 白露型駆逐艦「村雨」・・・1937年就役
- むらさめ型護衛艦「むらさめ(初代)」・・・1959年就役
- むらさめ型護衛艦「むらさめ(2代目)」・・・1996年就役
初代「村雨」の就役から100年以上に亘って、4代その名を引き継いでいます。
画像右:DD-101が「むらさめ」
隣のDDG-171「はたかぜ」も海上自衛隊で2代目、旧海軍含め3代目
また同型艦では
はるさめ、ゆうだち、いなづま、いかづち、あけぼの、ありあけ
の各艦が同様に4代目の名を付けられています。
先にも書いたとおり、現在のところこれ以上に使われた名前は存在しません。
3代目は非常に多い
では、その次に多い3代目の名前を冠する艦は何なのか?
実は3代目の艦は非常に多く存在します。
DDのネームシップだけ見ても
あさぎり型護衛艦「あさぎり」
初代:春雨型駆逐艦「朝霧」
2代目:吹雪型駆逐艦「朝霧」
たかなみ型護衛艦「たかなみ」
初代:夕雲型駆逐艦「高波」
2代目:あやなみ型護衛艦「たかなみ」
あきづき型護衛艦「あきづき」
初代:秋月型駆逐艦「あきづき」
2代目:あきづき型護衛艦「あきづき」
あさひ型護衛艦「あさひ」
初代:敷島型戦艦「朝日」
2代目:あさひ型護衛艦「あさひ」
と、現役のDDネームシップの全てが3代目となる名前を使っています。
(一番手前のDD-110が3代目となる「たかなみ」)
DD以外でもDDGこんごう型のネームシップ「こんごう」が3代目、あたご型の「あたご」も3代目、まや型の「まや」も3代目。
護衛艦以外でも「ひびき(音響測定艦)」、「てんりゅう(訓練支援艦)」などのネームシップが3代目となっています。
どうもネームシップとなる艦は、その名前の重要性からか。
全てではないですが、過去にも使用された名前が選ばれる傾向が強いようです。
初代の艦も存在する
では現役の艦艇は全て過去に存在した名前なのかというと、実は現在活躍している艦が「初代」という名前もかなり存在します。
DDでいうと
まつゆき、あさゆき、やまぎり、はまぎり、せとぎり、さわぎり、うみぎり、きりさめ
といった艦が「初代」になります。
5代目は出てくる?
海上自衛隊では原則として、同型の艦が1隻でも現役のうちは、その系統の名前(むらさめ型なら雨・気象に関する名前)を使わないというのが通例となっています。
その為、5代目となる「むらさめ」が誕生するとすれば現在活躍中の「むらさめ型」が全て退役した後になるでしょう。
海上自衛隊では護衛艦を約30年前後使用するのが一般的です。
むらさめ型の最終型「ありあけ」の就役は2000年代前半。
と、なるとむらさめ型の全艦引退はどれだけ早くても2030年代と予測されます。
5代目「むらさめ」が登場するのは、まだまだ先の話になりそうです。
※参考資料
- 海上自衛隊HP
- 世界の艦船増刊 海上自衛隊全艦艇史
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