最もお馴染みの自衛隊車両?高機動車

最もお馴染みの自衛隊車両?高機動車

その地域によって、普段から見かける自衛隊の装備は色々違いがあるとは思いますが、ほとんどの方は、一度はこの車両を見かけたことがあるのではないでしょうか。

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高機動車、通称「高機」です。

広報用の愛称で「疾風」というのもあるらしいですが、少なくとも筆者は一度も聞いたことが…(陸自の広報用愛称が全く定着しないのは定番です)

他には米軍のハンビーをもじって「ジャパニーズハンビー=ジャンビー」なんてのもあるらしいですが、筆者の知ってる範囲では専ら「高機」ですね。

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陸自部隊の定番車両

陸自の車両は色々とありますが、特に普通科で最も定番と言える車両が高機動車になります。

高機動車は運転手+助手席の2名に加えて、後部に8名、合計10名が乗り込めるのですが、これはちょうど普通科小隊の小銃班が丸ごと乗り込める広さで、1班が1台の車両で移動出来るというのが大きなメリットです。

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写真だと6名ですが、実際は後部座席に更に4人乗ることが出来ます。

後輪の舵角調整機能が付いていたり、水深80cmまで対応していたりと、トヨタのオフロード車両として名高いランドクルーザーで培われた技術が多数取り込まれており、悪路走破性についても市販の高級クロスカントリー車両に匹敵する性能があると言われます。

陸上自衛隊の発行している仕様書で確認する限り

  • 超壕能力(路面の凹幅を超える能力)・・・75cm以上
  • 超堤能力(路面の凸高さを超える能力)・・・50cm以上
  • 左右傾斜角・・・43度までで転倒しないこと

となっているので、よほどの悪路で無い限りは突破できるようです。

ちなみに冬季については、専用のスタッドレスタイヤも存在するそうです。
(調達契約情報に高機動車用のスタッドレスとの記述あり)

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輸送ヘリのチヌークで吊り下げ、または機内に搭載して空輸する事も可能です。

高機動車の派生型

高機動車の特徴として、とにかく派生型が多いというのがあります。

  • 中距離多目的誘導弾
  • 96式多目的誘導弾
  • 93式近距離地対空誘導弾
  • 03式中距離地対空誘導弾

など、主にミサイルシステムの発射機・管制機などを搭載する車両として、高機動車が広く使われています。
また通信装置を積んだタイプや、対空レーダーを積んだタイプなども存在しており、とにかく幅広く使われている車両なのです。

正確には「高機動車に別の装備が乗っかっている」というのがほとんどなのですが、調達情報でも各装備品ごとに別々に書かれていて、同じ年度の調達でも価格が微妙に異なるので、各タイプによって少しずつ仕様に違いがあるのかもしれません。
(高機動車は710万円、中距離地対空誘導弾用は721万円、中距離多目的誘導弾の発射装置用は684万円など)

また高機動車ベースの車両で、唯一別の名前が付いているものとして「重迫牽引車」があります。

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120mm重迫撃砲を牽引して運ぶための専用車両で、120mm重迫がとても人力では運搬不能な重さ(約600kg)であることから、事実上120mm重迫とセットになっています。

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高機動車は一般人でも買える?

陸上自衛隊に納品されている高機動車ですが、民生品の部隊使用承認扱いとなっており、納入元のトヨタ自動車が民間用モデルを「メガクルーザー」として市販していた時期がありました。
(航空自衛隊や海上自衛隊の一部部隊では、こちらのメガクルーザーを調達)

当時のお値段は税抜980万円と非常に高価ながら、一般人で購入した猛者もいたとの噂。
(メインはランドクルーザーを使うような企業・団体)

現在でも中古車両が稀に出回っていることがあるのですが、欠点としてディーゼルエンジンのためディーゼル規制の影響を受けるというのがあります。

生産自体が2001年に終了しているため、年々厳しくなる規制に対応できず、使用するためには基準値内に収めるための何らかの手立てが必要になります。

なので、かなりの手間を掛けないと、乗るのは難しそうです。

ただ「一般人でも購入可能」なのは確かです。
(宝くじ当たったら買ってみたい・・・)

 

最後に、一番ユニークな高機動車のご紹介を

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もはや動く茂みと化している見事なギリー…
習志野の第1空挺団が、例年展示の際に披露しています。