自衛隊階級別役職(尉官編)
佐官以上は、上記の記事より
三佐の下は一尉、海外だと「大尉」と呼ばれるポジションです。
三佐の記事でも書いたとおり、佐官と尉官では、同じ士官・幹部でも役割が大きく変わってきます。
佐官が中隊規模以上、1つの組織を統べる「管理職」としての役割を求められるのに対して尉官の仕事は、どちらかというと「管理職と現場の中間点」という意味合いが大きくなります。
課長(主幹)代理とか係長だと、部下に対しての指示や指導は行いますが「管理職」ではないですよね、それと同じことです。
しかし本来、中隊長は三佐以上のはず・・・なのですが、近年では幹部・士官の不足により一尉が着任する事も珍しくはないと聞きます。
なので、この記事では、あくまでも「従来の基本的なスタイル」という扱いにしていきます、ご了承ください。
また大尉以下は細かく役職を分けにくいので、二尉より若い幹部についても合わせて記述します。
陸尉
一等陸尉または二等陸尉で、主に副中隊長または小隊長などを務めます。
三等陸尉は人数の充足次第で小隊長となることもありますが、基本的には「小隊長見習い」みたいな感じです。
陸上自衛隊普通科の例で見ると、一個小隊の編成は2個、または3個分隊になりますので、大体学校の1クラス分くらいの人数が「小隊」です。
佐官以上と比較しても、現場の最前線で直接部隊の指揮に当たる事が多いのが特徴です。
有名な映画だと「プライベート・ライアン」の隊長がミラー大尉でしたね。
また戦車隊の場合、1個小隊は戦車3両または4両により構成され、戦車の作戦行動の最低単位が「戦車小隊」になります。
ちなみに、中隊長は英語だと「commander」で「司令官・指揮官」の意味が与えられますが、小隊長は「Leader」=「リーダー・代表」という違いがあります。
同じ「隊長」でも、あくまでも軍隊としての作戦行動は「中隊」が要であり、小隊は中隊の中の組織という扱いなのです。
海尉
分隊長に三等海佐が就いている場合には、その補佐。
または艦の編成によっては、一等海尉が砲雷長などの立場を任されることもあります。
基本的には分隊長よりも更に細かい役割別のトップです。
(砲雷科なら砲術長や水雷長などが砲雷長の下にいます)
また「当直士官」と呼ばれる、夜間などの代行を務めるのも基本的に一等海尉以上となっています。
二等海尉以下は更にその下(砲雷なら、砲雷長→砲術長→砲術士といった具合)に付くことになります。
空尉
パイロットの場合、部隊内で経験を積んで「一人前のパイロット」と呼ばれるくらいの立場になります。
聞いた話では、一等空尉の時にエレメントリーダー(編隊長)の資格を取れないと、それより先に出世は出来ないとか。
パイロット以外の場合は陸自とほぼ同じで、一等陸尉や二等陸尉で副中隊長・小隊長、または幹部の少ないところでは中隊長になります。
二等空尉以下も同様で、小隊長見習い、または規模の小さな部隊の小隊長のようなイメージです。
余談:若手幹部よりよっぽど怖い?「先任」という存在
映画などで「先任軍曹」という言葉を聞いたことはないでしょうか?
先任とは「下士官のトップ」にあたる人のことで、その部隊や職種で叩き上げとして育った、言わば現場の親分・ドン的な存在になります。
幹部課程を終えたばかりの三尉など、赤子同然と言わんばかりの場数を重ねてきた人達なので、階級は上でも若い幹部さんは頭の上がらぬ立場。
若手の幹部さんは、いかに先任と上手くコミュニケーションを取って現場のノウハウを吸収出来るかが、業務を円滑に進める上で非常に重要だそうです。
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