【時事ネタ】陸上自衛隊 B767の「胴体だけ」購入
twitterで流れてきた不思議な案件。
「陸上自衛隊がボーイング767を購入する」
(; ̄Д ̄)なんと?
で、陸上自衛隊補給統制本部のHPを覗きに行きましたら
公告F044号 大型航空機本体
本当にあった・・・
ただ、仕様書を見てみると
“陸上自衛隊仕様書 HAV-W100051より抜粋”
主翼はエンジン部分で左右両方ともカット、垂直尾翼・水平尾翼もカット。
即ちB767の胴体+アルファの部分だけが調達対象なのです。
となると「航空機」として調達するのではなく「航空機の実物大模型」に近い形での調達です。
実際、用途廃止機を訓練用の実物大訓練機材として利用することは珍しくなく、例えば空挺隊員が機内での動きを習得するためなどに使われます。
ただ、この仕様書だと
m)主脚によって機体を支持するものとする
となっているので、駐機しているのと同じ状態が求められていると想定されます。
他にも「扉は開閉可能な状態」「ギャレー・トイレなど実機と同一品が組み込まれ、同様に配置されていること」など「旅客仕様のボーイング767型機」が求められていると推定される文言が見当たります。
そして気になるのが、公告の納入場所が「習志野演習場」になっていること。
習志野といえば「第1空挺団」そして「特殊作戦群」。
以上を整理すると、このB767の使い道として考えられるのは
航空機ハイジャック事案訓練用
旅客機仕様、さらに主脚付きで駐機状態にするという点から、まず考えられるのは、これでしょう。
実際、警察では航空会社の協力で実機を使った訓練を行っています。
ただハイジャックは基本的に警察案件ですので、自衛隊が出動するには治安出動要請が必要になるはずです。
武器使用については警察官職務執行法に基づき、警察と同等の基準で許可されるはずですが、そもそも「治安出動がハイジャックで要請されるのか」。
この点、政治的な話が絡んできそうで、非常にややこしそうです。
ただ今後、東京五輪なども控える中で、自衛隊にもハイジャック事案の対処能力を、という声もあるのかもしれません。
また敷地・予算などの都合で、陸上自衛隊が購入して、千葉県警(成田空港担当)や警視庁(羽田空港)のSATなども借用するという使い方もありえるかなと。
海外邦人保護事案訓練用
安全保障関連法の改正により、自衛隊は海外在住の邦人保護任務を行う事が出来るようになりました。
今年の2月にはタイで、実際の手順を確認する訓練も実施されています。
この訓練では自衛隊輸送機のC-130Hを使用したそうですが、ハークの航続距離では届かない場合や、より高速・大量輸送を求められる場合、KC-767の人員輸送モードなどを使うことも考えられます。
C-130Hは航続距離4000km、飛行速度600km/h程度なので、長距離を迅速に展開するには制限が大きいです。
対して、KC-767は旅客機の767ベースですので、ジェット旅客機と同等の航続距離&飛行速度があります。
KC-767は空中給油機ですが民間機であれば旅客エリアに相当する部分は、丸ごと空いており、ここには2-3-2の配置で旅客用座席を置く事も出来ます。
C-130Hのカーゴスペースへの搭載人数は92人となっているのに、KC-767であれば約200人の人員を収容可能です。
将来的にKC-767による邦人輸送も想定しているというなら、それを想定した訓練用の機材も「陸上自衛隊」が持っていても不思議ではないでしょう。
緊急脱出訓練機材
これもKC-767を人員輸送に用いる想定ですが、今後767での隊員輸送を積極的に行うとして、非常時の脱出手順確認や、実際の脱出訓練などのために実物大の訓練機材を確保しておく、ということも考えられます。
「胴体だけ」とはいえ、輸送費(767の胴体だけ売ってくれそうなところといったら、アメリカのモハーヴェ砂漠あたりに転がってる機体が真っ先に思いつくので)なども勘案したらかなりの調達金額になると思うので、やはりそれなりに強い意図のある調達なのだと考えます。
(追記:金額が判明しました)
納期が平成30年2月15日になっているので、来年の降下訓練始めは無理でも、桜まつりの頃には、演習場の何処かに謎の767の姿が見れるかも・・・?
[…] こちらの記事も参照 […]
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