飛行機についてる紅白の長い「角」。標準ピトー

飛行機についてる紅白の長い「角」。標準ピトー

航空機の機体には様々な装備品がついていますが、一部の機体には紅白の大きな「角」のような装備がついていることがあります。

この大きな角、レーダー?アンテナ?と思われるかもしれませんが、これが付いている機体ならではの役目を果たすものなのです。

 

紅白の角は「ピトー管」

地面を走る自動車等と違って、飛行機は空を飛んでいる間、車輪の回転で自分の速度を検知するということが出来ません。

その為、様々な速度の測り方がありますが、その中でも広く用いられる方法の一つがピトー管と呼ばれるものです。

ピトー管は空気の流れによって生じる圧力の変化を速度として検知するためのもので、特に「対気速度」を知るためには欠かせない装備です。

※対気速度
周囲の気流に対する相対的な速度。向かい風なら離着陸がしやすいなど、航空機の飛行特性は対気速度の影響を大きく受ける。

しかし、このピトー管、単純な構造故に欠点もあるのです。

※ピトー管内部の詰まりや閉塞は飛行機にとって致命的な事態を招く。その為、地上駐機中には保護カバーが付けられることも。

飛行中、機体の周りは乱流だらけ

非常に速い速度で空気中を飛ぶ飛行機。

いわゆる風洞シミュレーションの画像や映像を見たことある方は多いと思いますが、飛んでいる最中の飛行機の機体の周りは複雑な気流を生み出します。

先ほどピトー管は「空気の流れによる圧力」を検知すると説明しましたが、この複雑な気流は当然ピトー管の測定精度にも影響を及ぼします。

勿論、なるべく影響を受けにくい場所を選んでピトー管を取り付けたりするのですが、それでも少なからず影響を受けるのは避けられません。

では、より正確に対気速度を計測するには?

機体の影響を受けにくい場所=機体から少し離れた場所にピトー管を設置するしかありません。

※写真は自衛隊から退役したF-4ファントムの機首から長く伸びるピトー管。気流を受けにくくするため、機体からなるべく遠ざける工夫の1つ。

紅白の角は「標準ピトー管」

この機体から離れた場所に設置するためのピトー管が、紅白の長い角のような装備で「標準ピトー管」と呼ばれます。

一般的な機体では、必ずしも高精度の対気速度を測定する必要が無いため、機体に備え付けられたピトー管のみが用いられます。

しかし、航空機の中でも試験機・実験機などは、開発や試験において高い精度のデータを測定する必要があります。

※上の写真は海上自衛隊の試験評価機・UP-3C。所属は海上自衛隊で各種試験などを担当する第51航空隊。

その為、特にこういった用途の機体や開発中の試験機などでこの紅白の角=標準ピトー管が用いられることが多いのです。

自衛隊機の場合、航空自衛隊では岐阜基地の飛行開発実験団(ADTW)、海上自衛隊では厚木基地の第51航空隊がこの種の機体を多く扱う他、川崎重工が岐阜基地・三菱重工が小牧基地(名古屋空港)が試験飛行を行うため、頻繁にこの角付きの機体を見ることが出来ます。