【雑学】護衛艦の艦名や番号を描く位置の決まりごと
船体に大きく書かれる、艦名や艦番号。
近年進んでいるロービジ化が施されている艦では少し見えづらくなっていますが、その艦艇の顔とも言える部分です。
この艦名や艦番号、描く位置が細かく決まっていますので解説していきます。
そもそもあのフォントって何?
艦艇に描かれている文字や数字、独特の書体を使っていますがそもそもあの文字や数字は一体何なのか。
実はあのフォント、海上自衛隊が独自で定めているオリジナルのフォントなのです。
(艦船等の塗粧及び着標に関する達より引用)
ひらがな、アルファベット、数字の3種類が規定されており、海上自衛隊の艦艇に描かれている数字や文字は全てこれが基準となっています。
フォントのサイズは船の大きさによって決められており、文字の方は
- 180mを超える艦→700mm四方
- 140m以上180m未満→600mm四方
- 80m以上140m未満→500mm四方
数字の方は
- 120mを超える艦→2000mm
- 100m以上120m未満→1800mm
- 80m以上100m未満→1600mm
と、船体が小さくなるに従って文字・数字も徐々に小さくなっていきます。
護衛艦「いずも」だと全長が248mあるので艦名の平仮名は700mm四方、数字は2000mmになります。
大きく見える数字ですが、実際人間の身長よりも大きいのです。
船首の艦番号の位置
船首の艦番号を描く位置は以下のように決まっています。
基準となる位置は、艦番号の一番右の数字の中心で、この位置が
船首から艦の全長の7/100
満載状態の喫水線から見て、文字の上側と下側が2:3
仮に全長100m・満載喫水線から甲板までが5mの艦であれば、右の文字の中心は艦首から7m、海面から3mの位置ということになります。
船尾の艦名の位置
船尾に描かれる艦名は以下のように決められています
左右の中心→文字数が奇数の場合は真ん中の文字の中心、偶数の場合は中央の2文字の間隔の中心が、それぞれ艦の中心線に合致
上下→満載喫水線を基準として、上下比が2:3
実は微調整も可能
さて、これだけミリ単位できっちりと決まっている艦名や艦番号の表記ですが、実はこれを定めてる規定にはこのような一文もあります
防げん材、汚水口、吐水口等船体の構造又は形状上前2号の規定により標記することが不適当な場合は、必要最小限度においてその標記位置並びに寸法及び間隔を変更し、又は真にやむを得ない特別の事情がある場合は、名称の標記を省略することができる。
(艦船等の塗粧及び着標に関する達)
つまり、決められた位置に何かしらの障害物がある場合や、構造上そこに描くことが出来ない場合には、微調整しても構わないという内容です。
先日、進水した30FFMの2番艦「くまの」では艦番号の表記が錨用のハッチと被っていたので、もしかしたら今後微調整されるのかもしれません。
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