本名?見た目?戦闘機パイロットのTACネーム、由来のあれこれ
戦闘機パイロットの「二つ名」とも言えるTACネーム。
無線のやり取りの簡略化や、本名を隠す、重複した名前の人がいた場合の呼び分け等、様々な理由から使われていますが、明らかに由来が分かるようなものから、これどういう意味?というものまで様々です。
今回は戦闘機パイロットのTACネームがどのような由来なのか、解説していきます。
本名をもじったもの
TACネームの由来で1、2を争うのではないかと思われるのが、本名の一部を取ったもの、あるいは名前から連想される単語をTACネームとしたもの。
名前の一部を取ったものの例としては
『TETSU(テツ)』→本名:福田哲雄さん、哲雄→テツ
(元ブルーインパルス1番機)
といった分かりやすいものから
『EDEN(エデン)』→本名:園田健二さん、園田(そのだ)の読み方変えると「えんでん」→エデン
エデンの園というのも、もじっているそう
(元ブルーインパルス5番機)
といった、少し捻りの入ったものまで。
また名前から連想される単語のパターンでは
『AXE(アックス)』→本名:小野裕次郎さん、小野→斧→アックス(斧)
という方がいらっしゃいます。
他にも名字、下の名前など様々なパターンがありますが、本名を由来としたTACネームはかなり多いです。
出身地や基地の所在地に由来するもの
名前由来のものと並んで多いと感じるのが、本人の出身地または部隊・基地の所在地から来ているもの。
2020年現在のブルーインパルスのライダーさんには、この出身地に由来するTACネームが多く
『CHERRY(チェリー)』→ブルー1番機・山形県出身の遠渡祐樹さん。山形の名産品がさくらんぼなので、さくらんぼ→チェリー
『GABAI(ガバイ)』→ブルー5番機・佐賀県出身の河野守利さん。佐賀県の方言で凄いを意味する「がばい」が由来。
『RIAS(リアス)』→ブルー6番機・岩手県出身の佐藤貴宏さん。リアス式海岸の「リアス」から。
など。
また部隊の所在地に由来するパターンでは
『SHISA(シーサー)』→仲村智成さん。F-4EJ改時代の第302飛行隊、最後の隊長を務めた方。TACネームは那覇時代の第302飛行隊着任時のもの。
『GOYA(ゴーヤ)』→田畑勇輔さん。こちらも那覇時代の第302飛行隊着任時。本人が航空学生58期というところからも。
少し捻ったもので、小松基地に配属された際に、小松基地→小松→コマツ(重機メーカー)→ブルドーザー→ブルでTACネーム・ブルさんという方もいらっしゃいます。
着任時のエピソードに由来するもの
部隊に配属された際に、何らかの印象的なエピソードなどから、それがTACネームになるというパターンもあります。
このパターンで例を挙げると、先日テレビにも登場したブルーインパルス4番機の『ASH(アッシュ)』永岡皇太さん。
第301飛行隊が新田原基地に所在してた頃に着任したそうですが、当時ちょうど火山の噴火で火山灰が降っていたため、火山灰=灰=ash(アッシュ)だそうです。
見た目の雰囲気に由来するもの
パイロットの外見の見た目・雰囲気からつけられた、というのも少なくないパターン。
ジャッキー・チェンに似てるから『ジャッキー』さん、雰囲気が日本人離れしててフランス人っぽいから『ピエール』さんなど。
本当にあったTACネーム
様々なTACネームの由来を挙げたところで、本当に存在した印象の強いTACネームを最後にご紹介しましょう。
ブービー
エースコンバットシリーズが好きな方には印象的なTACネームの一つ「ブービー」
実は航空自衛隊にもTACネーム:ブービーさんが実在しました。しかも搭乗機種はファントム。
(エースコンバット5をやった方ならTACネーム:ブービーのファントムライダーでピンと来るはず)
元第7航空団副司令官で、静浜基地の司令官も務められた辻正紀さん。
最初に配属されたのが第304飛行隊だったそうですが、当時300番台の飛行隊ではF-15Jへの機種転換が進んでおり「今回か、次の新入りがファントムで最後になるだろう」→最後の一歩手前で「ブービー」となったとか。
シン
こちらも戦闘機好きなら知っている名前、エリア88の主人公・シンこと風間真
過去にブルーインパルスの1番機を務められた吉田信也さんという方が、名前をもじって「SHIN(シン)」というTACネームを使っていました。
ゴジラ・ガメラ
着任したパイロットが3人だったので、先輩が怪獣の名前からゴジラ・ガメラと付けたそう。
ちなみに気になるもう1人は「ギャオス」だったそうな・・・
ちなみにTACネームはパイロット着任時の歓迎会の宴席で決まることも多いそうで、時に「酒の勢いだろ」というようなのも珍しくないみたいです( ̄▽ ̄;)
※参考資料
- 各年度ブルーインパルスパイロット紹介
- 永遠の翼 F-4ファントム(著:小峯隆生)
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