F-2とF-16の違うところ(主に外見で分かるもの)

F-2とF-16の違うところ(主に外見で分かるもの)

航空自衛隊の主力戦闘機F-2は、米国ジェネラル・ダイナミクス(現在は合併によりロッキードマーティン)のF-16ファイティングファルコンをベースとして開発された戦闘機です。

しかし元々F-16がハイローミックスの「ロー」を担当する軽量戦闘機として開発されただけあって、日本が求める仕様を実現するために大幅な再設計・見直しが行われています。

今回は、F-2とF-16の違いを主に外見メインで解説していきます。

①F-2の方が若干大きい

見た目はほぼ同じ大きさに見える両機ですが、実はF-2の方が50cmほど全長が大きくなっています。

F-16が15.04mであるのに対し、F-2(A型)は15.52mです。

また全幅もおよそ1mほどF-16から大きくなっており、全体的にF-2はベースとなったF-16よりも大型化した機体となっています。

②主翼の形が違う

主翼形状は、実は大幅に変更されています。

F-16の主翼形状は切り欠きデルタ、クリップトデルタと言われる三角形の先端を切り取った形状になっており、主翼後方は胴体と垂直に取り付けられています。

つまり直角三角形の先端を切り取ったような形状なのです。

これに対しF-2の主翼は対艦ミサイル4発携行というF-16とは非常に異なる性能要求が出されたこともあり、主翼が全体的に大型化しています。

面積で言うと7平方メートルほど大きくなっているそうです。

またF-16が直角三角形の先端を切り取った形であるのに対し、F-2の主翼は後ろ側が胴体に対して約6.5度の前進角を付けています。

なので上から両方の主翼を見比べると

イメージとしては、こんな感じです。

特にナイフエッジやロール機動などで、背中側を観客席に見せた時に、違いがハッキリと分かると思います。

また主翼だけでなく、水平尾翼の形状も変更されています。

③キャノピー形状が違う

コクピットを覆うキャノピーは、原型となったF-16が2ピース型になっているのに対し、F-2は3ピース型になっています。

F-2のキャノピーはこのように、真ん中の部分だけが開き、一番前の部分は固定式なのです。
(F-16は前の部分が残らず、全体が持ち上がります)

これはF-2の任務に対地・対艦攻撃が割り振られているためで、低空を飛行する機会が多いことからバードストライクの際に乗員を保護する目的があると言われています。
(同様の改修はT-4のブルーインパルス仕様でも実施)

この他にエアインテークの形状が若干違ったりするのですが・・・見た目ではほとんど分からないかと思います。

おまけ・ドラッグシュートはF-2独自?

F-2は着陸時にドラッグシュート(減速パラシュート)を使用することがあり、これもF-2とF-16の相違点として語られることが多いのですが、これは実は間違いです。
正確には「米軍のF-16と、F-2の相違点」ということになります。

F-16は初期型のBlock10の時点で、ドラッグシュートの搭載に対応しています。

F-16 フライトマニュアルより

アメリカ空軍が、ドラッグシュートの言わば「メーカー純正オプション」はいらないから採用していないというだけで、F-16という機体そのものはドラッグシュートを最初から装備できる機種なのです。

欧州では実際にF-16でドラッグシュート装備を選択している国があったかと思います。