掃海艦「はちじょう」引退 最大級の木造艦、その最後の1隻

掃海艦「はちじょう」引退 最大級の木造艦、その最後の1隻

DDH-184「かが」の就役など、新たに務めを始める艦もあれば、人知れずひっそりと、その役目を終える艦もあり。

平成29年6月6日、一隻の自衛艦がその役目を終えました。

八丈島から名を貰った、やえやま型掃海艦3番艦「はちじょう」です。

退役のソースについては此方
第1掃海隊ホームページより

6.6 「掃海艦はちじょう」が除籍されました。

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はちじょうは平成4年進水、平成6年に就役した排水量約1000トンの掃海艦です。

掃海艦・掃海艇は機雷による磁気探知を嫌うため金属を極力減らす必要があります。
その為、やえやま型掃海艦まで海上自衛隊では船体に「木材」を使用していました。

現役船舶としては米国のアベンジャー級掃海艦と並んで世界最大の「木造船」であり、艦の紹介などでも度々「この艦は世界で一番大きな木の船なんです」と言われてきました。

しかし、一昔前であれば木材を使用していた小型船舶も現在はFRP=強化プラスチックが主流となっています。
木材は「生もの」ですからメンテナンスが欠かせませんし、寿命も決して長くはありません。
またどうしても水を含みますので、船体の割りに重量が増します。
船体材料において実用性という面では既に木材が有利な面はほぼ無いと言えるくらいになっており、民間でも木造の新造船というのは絶えている状況にあります。

その為、長らく海上自衛隊の掃海艦を支えてきた木造船技術も、既に国内で新規建造が可能な体制は無いに等しくなっており、後継艦の「あわじ型」ではFRP船体が採用されました。

よって「はちじょう」の引退を以って、海上自衛隊から木造の大型船舶は全て退くことになり、木造の自衛艦は「ひらしま型」以前の中型掃海艇を残すのみとなります。

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本日の「はちじょう」引退は、海上自衛隊における「木造艦」の歴史が1つの節目を迎えた日なのです。

約23年のお勤め、お疲れ様でした。