降下訓練始め前におさらい。第1空挺団とは。

降下訓練始め前におさらい。第1空挺団とは。

第1空挺団とは

dsc_0124

日本で唯一の空挺降下部隊にして、陸上自衛隊でも屈指の精鋭集団と言われる第1空挺団。
(第1空挺師団などと誤記されることがありますが、空挺「団」が正解です)。

千葉県習志野駐屯地を本拠地としていますが、その任務の特殊性から全国の演習場などを回って訓練を行っています。

今回は、そんな精鋭集団・第1空挺団のお話です。

よくある誤解

いきなり、こんな話からしていますとなんですが、ネット上では「日本の第1空挺団は世界でもとびきり凄い」などというコメントがちらほらあります。
確かに第1空挺団が自衛隊の中でも、屈強な精鋭集団であることは間違いありません。

しかし、世界的にみれば

「空挺兵」「空挺部隊」

というジャンルそのものが歩兵の中でも精鋭なのです。

「第1空挺団・最強伝説」というのもありますが、各国にも
「空挺部隊の奴等のヤバい伝説集」
みたいなものがあるとかないとか。

つまり第1空挺団は「歩兵の中でも精鋭が揃う、空挺部隊の自衛隊版」というのが正しい解釈です。

なので、この記事ではあえて、その辺の伝説云々については触れないでおきます。

空挺兵は、何故精鋭か

空挺兵が精鋭揃いと言われるのは、その非常に特殊な任務が関係します。

一般に陸軍の地上部隊は、常に後方の安全を確保しながら戦います。
いわゆる「背後連絡線」と言われるものです。
つまり「いざとなれば後方へ退く、退却する」という選択肢を常に残したまま戦う事が出来ます。

それが空挺部隊の場合、敵勢力圏内の奥深くへ空から侵入することもあります。
敵の背後連絡線を破壊するために、敵の後方へ降下することもあり得ます。

この場合、普通の地上部隊のように、自らが退く道は何処にもありません。
つまり空挺部隊には、「撤退」の選択肢は必ずしも存在しないのです。

「一度降下したら、命ある限り戦う」

これが空挺部隊の使命です。
故に強靭な体力・サバイバル能力、何より不屈の精神を備えた、精鋭のみが空挺兵となれるのです。

第1空挺団は「狂ってる団」などと言われますが、逆を言えばこんな任務、一般人からしたら「狂ってる」と感じるくらいの人じゃないと出来ないですよね。

 

第1空挺団の概要

普通科歩兵を有する第1~第3普通科大隊(大隊は3個中隊を基本としています)を主戦力として、火力支援を目的とした120mm迫撃砲を装備する空挺特科大隊、これに通信・施設・後方支援などを合わせ、総数1900名の「団」です。

 

120ヘリでも運べる120mm迫撃砲は空挺団の貴重な重火力装備

空挺降下を行う母機は様々です。

dsc_0294

dsc_0180

固定翼機(輸送機)を使う場合は、航空自衛隊の支援を受けます。
最も訓練する機会が多いのは、主に入間基地の第402飛行隊C-1輸送機。
ちなみに固定翼機での訓練の際は習志野→入間までの移動は大変という事で、海上自衛隊・下総航空基地を借りてるようです。

他には小牧の第401飛行隊、C-130Hハークなども空挺支援に当たります。

47

uh1

ヘリコプターからの降下ではCH-47チヌークは勿論、UH-1ヒューイも使用します。
チヌークは木更津の第1ヘリコプター団に在籍している機体が使われます。
第1ヘリコプター団は空挺団と同じく中央即応集団隷下なので、普段から空挺団の空中機動能力の要として、日夜訓練を行っています。

またヒューイは関東の訓練では東部方面航空隊所属機が活躍します。

ちなみに空挺団が使うパラシュートは2種類存在するのはご存知でしょうか。

dsc_0359

一つは、この茶色っぽい御椀型のパラシュート。
696MI・通称12式落下傘、またはそれに改良を加えた13式落下傘。
連続して大勢が降下するのに適しているので、主に大型ヘリや固定翼機からの主力隊降下に使用されます。
ただし細かいコントロールは調整できず、任意の地点にピンポイントで降りるような降下は出来ません。
また、このパラシュート降下速度は秒速5~6m/sで、時速に換算すると20km/h近く。意外とスピード速いまま地面に降りることになります。
なので、このパラシュートを使用する場合、隊員はわざと転ぶような受身の動作で着地します。

dsc_0187

受身を取って、全身で着地の衝撃を緩和するれっきとした着地法です。

dsc_0267

もう一つは白い自由落下傘。米国パラフライトMC-4という種類です。

こちらの落下傘はコントロールが利きやすく、着地時には大きく減速させることで両脚だけで着地する事も可能です。

dsc_0282

こちらは主に少数による精密降下などで用いられます。

また空挺団=パラシュート降下のイメージがありますが、実際は空中機動作戦全般に精通しています。

dsc_0490

ヘリによる強襲作戦や

dsc_0548

ロープを使ったヘリボーンまで何でもこなします。

rope

空挺団だけではなくレンジャー資格者なども行いますが、エクストラクションロープによる緊急離脱も。
ちなみに隊員とヘリを繋いでるのは「ロープ」だけです…恐ろしや…

精鋭歩兵であり空中機動のエキスパートである第1空挺団。
普段なかなかその姿を見ることは無いですが、習志野・降下訓練初めを筆頭に各地のイベントなどで空挺降下を披露してくれます。

dsc_0131

落下傘の大部隊が空から舞い降りてくる姿は、一見の価値ありです。