2017年の自衛隊はこうなる

2017年の自衛隊はこうなる

2017年(H29)の自衛隊はこうなる

防衛省の予算概要、その他諸々より、2017年の自衛隊に起きる大きな変化をまとめてみました。

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①F-35A臨時部隊発足

 

出典:航空自衛隊HPより引用 (航空自衛隊HP利用規約に基づき引用)
出典:航空自衛隊HPより
(航空自衛隊HP利用規約に基づき引用)

平成24年度予算で計上されていた、アメリカ国内製造の4機(701~704)が平成28年度3月中までに航空自衛隊へ引き渡し。

また名古屋にあるFACO工場で組み立てられた705号機も本年中に引渡しが予定されています。
日本国内で初めて見れるF-35Aは、恐らくこの705号機になるでしょう。
(他に、岩国で米軍海兵隊向けF-35Bの配備が予定されています)

しかし705号機はアメリカの工場で検査を受けた後に、701~704号機と共にアメリカ国内で行われている要員養成課程に回される見込みなので、せいぜいテストフライトくらいでしか、その姿を日本で見ることはなさそうです。
(平成30年に帰ってくる予定にはなっています)

日本国内では国内組み立て2機目になる706号機(恐らく機体識別番号は79-8706になると推定)が完成後、アメリカでの訓練を終えた第一陣が合流して三沢に臨時飛行隊が発足する予定。
これが航空自衛隊にとって最初のF-35A飛行隊になります。
平成29年中に予定されているのはここまでで、本格的に機数が増えるのは平成30年以降の予定。

今年は航空観閲式の年でもありますが、706号機が観閲式でその姿を見せるのか否かが気になるところです。

②陸上総隊創設

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現在の陸上自衛隊の指揮系統は、航空自衛隊・海上自衛隊のそれと異なり、若干ややこしい構成になっています。

航空自衛隊は航空総隊を最高司令組織として、各航空方面隊を隷下に。
海上自衛隊は自衛艦隊を頭として、各護衛艦隊・航空隊などを隷下としています。
(地方隊だけ特殊で、地方総監が防衛大臣の直下に位置します)

つまり航空・海上は、海自の地方隊など一部の特殊な部分を除き、最上位指揮官が存在するのです。
(文民統制の自衛隊では、その上に「政府・行政」が当然ありますが)
自衛隊への行動命令は防衛大臣から発令されますが、防衛大臣はこの最上位指揮官へ指示を伝達すれば良いという流れです。

対して陸上自衛隊は特殊で、防衛大臣の直下に各方面隊が並列に位置しています。

これ、どういうことかと言うと、自衛隊へ政府として何か命令する際に
「これは北海道の事案だから、北部方面隊司令官に。こっちは九州の事案だから西部方面隊司令官に…」
と、その都度分けないとなりません。

この状態を改善するために設置されるのが陸上総隊です。

これが運用開始されると、各方面隊の司令官は陸上総隊隷下という指揮命令系統に移行します。

また現在、中央即応集団隷下に位置する第1空挺団なども、陸上総隊直轄組織になる予定です。

③DDH-184 かが 就役

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いずも型2番艦DDH-184「かが」が、3月に竣工予定です。
(写真はDDH-183「いずも」)

また、これに合わせてDDH-144「くらま」は約36年の務めを終えて、引退します。
くらまの引退を以って、海上自衛隊の護衛艦からは蒸気タービン搭載の艦が全て引退する事になります。

「くらま」は佐世保所属でしたが、佐世保の後継艦は呉から「いせ」が向かい、「かが」は呉に配属されます。

「かが」就役日 横須賀港の模様は此方から

また計画番号26DD、あさひ型護衛艦2番艦も進水が10月頃の予定です。

おまけ・今年中には起きないこと

以前から話があるけど、これいつになるの?という話題について、今年中には起きないとほぼ確定している話です。

①自衛隊オスプレイ

平成28年度予算概要を見る限り、最初に購入する4機の納入予定は「平成31年度」になっています。
そのため、少なくとも今年・来年に自衛隊オスプレイの姿を見ることはなさそうです。

②水陸機動団

準備は着々と進んでいるようで、平成28年度予算として教育隊の新設に関わる予算も計上されています。
またAAV-7の先行導入、大分県の駐屯地へ新設部隊の申し入れがあるなど、少しずつパーツとしては揃いつつありますが、正式発足はまだ先になる見込みです。

米海兵隊仕様AAV-7
米海兵隊仕様AAV-7

平成26~30年の中期整備計画で水陸機動団の新設について触れられていますので、平成30年度の末に正式発足、という形になるかもしれません。

③ファントム引退

F-35Aのところで書いたとおり、F-35A飛行隊に十分な数の機数が揃うのは来年以降の話になります。
それまでは戦闘機・飛行隊定数などの関係からファントムが退くわけにはいかず、三沢にF-35A飛行隊の体制が整うまでの間は、まだまだ現役です。

レコンファントムについてもグローバルホーク偵察機の導入が平成31年度末と先日報道があったので、それまでは現役続行することでしょう。

生産の早い機体から順次、ラストフライトを迎えていくと思いますが、少なくとも今年ファントム全てが引退する事はありません。

320

筆者が最近撮った中で、最も年季の入ったファントム 320号機。
最近姿を見ないので、流石に引退したかも…?