戦闘機の音は想像以上。航空祭シーズン、耳の保護を忘れずに。
8月の千歳基地航空祭を皮切りに、12月まで各地で続く航空祭。
戦闘機の激しい機動飛行と轟音・爆音は見るものを魅了します。
一方で意外と忘れがちなのが「耳の保護」
戦闘機から出る轟音は、実は人間の耳にとっては危険とも言える域なのです。
耳を保護して安全に楽しく航空祭を、ということで今回は「航空祭には耳保護グッズを」です。
戦闘機の轟音は
100dbAを超える
エンジン全開で飛行する戦闘機の轟音、どれくらい凄い音なのか。
PW社のF-100-PW-200/220エンジンを搭載しているF-16の初期型のフライトマニュアルに以下のようなチャートが載っています。
MAX AB THRUST、すなわりアフターバーナー全開のときと、MIL THRUST=アフターバーナー無しの全開出力の際に、周囲へどれだけの音が聞こえているかと言うのを示したチャートです。
MAX ABの場合を見ると115dbAのラインが機体後方約30度のところで、1000ft=約330m離れた地点にも到達していることが分かります。
100dBAで電車が通るガード下
110dbAで自動車のクラクション(車から2m地点)
120dbAで直近の落雷
と言われていますので、115dbAという音が如何に大きい音か想像出来るかと思います。
単発のF-16でこれなので、双発機や更に大きい出力のF-35などは恐らくこれ以上の音が出てても不思議ではないでしょう。
耳への影響
これだか大きい音を聞くと人間の耳はどうなるのか。
先のマニュアルには、音の大きさと1日に晒されてよい時間のグラフが載っていますが
115dbAの音に対してLIMITS WITH EARMUFFS=イヤーマフ装着時のリミットがおよそ1時間であるのに対して、LIMITS WITHOUT EAR PROTECTION、何も耳を保護していない場合はもはやグラフの線が描かれていません。
限りなくゼロに近いか、そもそも想定の範囲外ということです。
人間の耳は100dbAを超える突発的な音に晒されると音響外傷、即ち音によって聴覚に異常を来たす恐れがあると言われています。
実際に症状が出るかは個人の体質差・音の種類にもよって異なりますが、100dbAを大きく超えるような音を何も保護していない耳で聞く以上はリスクは避けて通れません。
耳を保護するには
よって戦闘機が激しい機動飛行を行うような航空祭では耳を保護するグッズを持って行くのを推奨します。
整備員の方が使っているようなイヤーマフが装着も簡単で効果も高いですが、やはり大きくて嵩張るのは避けられません。
そんな方には、こういったイヤホン型のものもあります。
画像は筆者が使っているSUREFIREのソニックディフェンダーというモデルですが、およそ25~30dbの遮音効果があり戦闘機の音でも90db相当に抑えることが出来ます。
約2000~3000円と耳栓としては高価ですが、繰り返し使用可能なことや性能を考えると値段相応の価値と言えるでしょう。
また安く手軽に済ませたいというのであれば、ホームセンターなどで売っている使い捨て前提のゴム製耳栓などでも十分な効果が得られるでしょう。
但しイヤホンタイプや耳栓タイプは装着にちょっとコツというか手間が掛かるので、子供にはイヤーマフの方が付けやすいかなと思います。
せっかくの航空祭、爆音を思う存分楽しみたい!というのも分かりますが、耳が痛んでしまっては楽しむものも楽しめなくなってしまいます。
特にお子様は、聴覚に障害が残ってしまったら人生にも大きな影響が出てしまうでしょう。
耳を労わって航空祭を楽しみましょう!
※参考資料
- F-16 Flight Manual
- 浦野耳鼻咽喉科医院HP
疾患事例集 音響外傷
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