戦闘機パイロットになるまでにどれだけの時間、空を飛ぶか 訓練飛行基準時間
大空を翔る戦闘機のパイロットは、厳しい道ではありますが、いつの時代も憧れるものです。
さて、そんな戦闘機パイロットですが、航空学生または幹部候補生からT-7の初等練習に始まり、T-4での中等~高等練習、さらに実機の複座型で戦闘機訓練を経て実戦飛行隊に配備されます。
この訓練期間の中で、どれくらいの時間空を飛ぶことになるのか。
公表されている自衛隊の資料から解説していきます。
戦闘機パイロットの共通課程 T-7からT-4まで
操縦士候補生として地上での準備期間(地上教育)をクリアすると、まず初等練習機T-7で飛行機の操縦に関する基礎を学ぶ事になります。
T-7での操縦訓練時間は22週間で60時間。
自家用操縦士資格取得のための最低飛行時間が40時間なので、それよりも多い計算になります。
戦闘機パイロットを目指せるかどうかは、このT-7での訓練を終えた段階で決まり、戦闘機操縦士候補はT-4へ、輸送機・救難機操縦士候補はT-400へと進みます。
T-7をクリアすると、基本操縦前期課程として芦屋基地の第13飛行教育団で赤い塗装のT-4、通称レッドドルフィンで訓練を行います。
この訓練期間は24週間で65時間のフライトを行うそうです。
続けて浜松の第1航空団に移動して、基本操縦後期課程へ。
ここでの訓練は30週間95時間。
更に基本操縦後期課程を終えると、同じく第1航空団で戦闘機操縦基礎課程です。
この課程はあくまでも準備段階ということなのか、他の課程に比べて短く8週間20時間で終了するそうです。
戦闘機操縦基礎課程を終えると、ここで機種別のコースへと移行します。
F-15J操縦士課程
F-15の操縦士は新田原の飛行教育航空隊で、イーグルドライバーになるための最後の課程に望むことになります。
戦闘機操縦課程(F-15)、教育期間は35週間で100時間となります。
F-2操縦士課程
F-2の操縦士教育は松島基地第4航空団第21飛行隊の担当です。
期間が37週間と若干長いものの、飛行時間は100時間でイーグルと同じようです。
ここまでの時間を全て合算すると
T-7での飛行時間・・・60時間
T-4での飛行時間・・・65+95+20=180時間
F-15またはF-2での飛行時間・・・100時間
戦闘機パイロットとしての技能を身に付けるのに、合計340時間のフライトをこなすことになります。
戦闘機パイロット1人を育てるためには、宝くじ1等レベルの金額が掛かると言われますが、これだけの時間を高価な機材で練習するわけですから、納得の価格です・・・
ファントムのパイロットは?
F-4EJ改の操縦士ですが、現状の資料にファントムの操縦士訓練課程というのが見当たりません。
唯一存在するのが、岐阜の飛行開発実験団で行っているファントムへの「機種転換課程」のみです。
なので新規操縦士としての訓練は行わずに、必要に応じて機種転換で対応していると思われます。
※参考資料
航空自衛隊の教育訓練に関する訓令
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