ギリギリ昭和生まれ世代から見た野球中継と野球嫌い
野球中継で野球嫌いに
という趣旨のポストをしたら、想像以上の反応となり非常に驚いている次第なのですが。
一応、その後に補足は入れたものの
「90年代に子供時代を過ごした世代から見たテレビ事情と野球事情」
は、特に野球の地上波放送も無くなった昨今、別の世代には140文字の縛りでは伝わりにくいところもあると思い、補足として此方の投稿をすることにしました。
念のため、最初に申し上げると
・筆者は東京生まれ、東京育ち
・ギリギリ昭和生まれ(昭和60年代)
という属性ですので、地域差や年齢差については予めご了承ください。
あと筆者の記憶頼りなので、勘違いや記憶違いもあるかもしれません。
あと結構珍しく、親も祖父母も誰一人野球に興味はありませんでしたので、その点もちょっと差し引いていただけると幸いです。
(家族や親戚とキャッチボールしたことすらありません)
90年代のテレビ事情
自分が小学生の次代を過ごした90年代のテレビを一言で言うならば
大正義・読売巨人軍
いや、誇張ではなく、ゴールデンタイムと言えば野球!野球と言えば巨人!大スター・長嶋茂雄監督率いる読売巨人軍!
子どもながらに、そんな感じでした。
19時~21時のゴールデンタイムはナイター中継が花形であり、今や日曜日の人気番組となっている鉄腕DASHも放送初期はナイター中継の方が優先で、少ない時は月に1回放送って時もあったと記憶しています。(まぁ日テレですから)
で、ゴールデンタイムを独占してバラエティやアニメを容赦なく潰すと共に、子供たちを泣くに泣かせたのが「中継延長」
21時で試合が終わった記憶はあまり無く30分延長は日常茶飯事(シーズン序盤や中盤は30分上限だった記憶)、これがシーズン終盤になってくると1時間延長になったり、優勝掛かるような試合や日本シリーズは無制限延長もありました。
しかも野球ですので、終わるかと思ったらどんでん返しも茶飯事。
20時50分とかに中継見たら「9回裏」だったので「やった今日は終わる!」と思っていたら
「打ったああああああああああ!!!同点!ホームラン!試合は延長戦に!」
(´・ω・`)
こんな記憶も残っています。
そして、これが試合終了したらすぐ次に行ってくれるかというと、キリのいい時間まで伸ばすからやれヒーローインタビューだなんだと、その後も何かと続くのです。
大人になってから振り返ると、自分が予約してる席に行って先客がいて「お時間ですよ」と言われてるのに「あと締めの挨拶だけ!ね、ちょっと待って!」とそこからダラダラ喋り始められた時に感じる不快感に近いですかね、あれは。
自分の中で一番この延長に泣かされたというのが「土曜日21時の日本テレビのドラマ枠」
この枠の90年代は
- 金田一少年の事件簿(堂本剛版)
- サイコメトラーEIJI
など、マンガ原作のドラマが多く、また次の日が休み(この頃まだ土曜日は小学校でも半日授業でした)だから夜更かしが許されるというので小学生の間でも視聴者が多かったのですが、土曜日なんてほぼ決まってナイター中継がありますので、これがまぁ遅れること遅れること・・・
明日休みだからっていい加減早く寝ろ!という親に「だって野球が終わらないのが悪い!」と頼み込んで、見せてもらった同年代の方も多いのではないでしょうか。
ちなみに、この頃どれくらいナイター中継が最優先だったかというと
ドラマの最終回でも容赦なく中継延長
です。この枠は決して視聴率が低い枠ではなく、平均視聴率20%超えるような作品もありましたが、それでもナイター中継の延長が優先です。
ちなみに当時は野球の延長で見逃した番組、録画失敗して撮り逃したアニメなどを見る手段は、後からレンタルビデオになるのを待つか、再放送を根気強く待つくらいしかありませんでした。
それすら確実に出る保証は無く、更に再放送の情報を得る手段も限られていたので、一度見逃したものは永久に見れない可能性も多々あったのです。
最近は古い作品もサブスクに多くラインナップされていますが、それで「やっと当時の続きを見れた!」って人もいるかもしれません。
90年代の子供の野球事情
ではそんなテレビ事情の中、当の子供たちは野球一色だったのかというと、これが随分と事情が変わってきます。
この頃から「サッカー」の存在がかなり大きくなっていたのです。
やはり大きかったのはJリーグ。
1993年にプロリーグが始まり、三浦カズ、ラモス、中山ゴン、野人・岡野(あえて敬称略の愛称で)、多くのスター選手が登場し、少年野球ではなく少年サッカークラブに入る子供も相当数いました(実は筆者自身も少年サッカー倶楽部にいました)
カズやラモスが所属するヴェルディ川崎のマークに憧れたものです。
そしてキャプテン翼。
90年代だと2回目のアニメシリーズが放送中だったと思いますが、Jリーグに加えてキャプテン翼の存在は子供たちの中で「サッカー」を人気スポーツにしていました。
ちなみに、キャプテン翼の単行本の第1巻には
「サッカーしようと誘うが、野球しかやらない、サッカーなんて変な奴だと同級生から仲間外れにされる大空翼」
のエピソードが確かありました。
逆を言えば、Jリーグやキャプテン翼の前は、それだけサッカーがマイナーだったんだなと思ったものです。
加えてスポーツ以外でも小学校の時に今や世界的コンテンツとなった「ポケモン」が登場したりと、当時の男子小学生はだいぶ「野球以外の選択肢」があったと思います。
ただ、それはあくまでも小学生や子供の中での話。
テレビをつければサッカーも確かに取り上げられていますが、やはり中心は野球。
親世代・教師世代も野球の意識が強いため、やはりそこが贔屓されることも少なくありませんでした。
なので、今になって思えば「野球以外の選択肢」が与えられているにも関わらず、親世代やテレビはとにかく野球!だったというギャップが、テレビの野球中継への不信感を更に強めたのかもしれません。
おまけ・オタクとラジオと野球
時は流れ、筆者が大学生になる頃、この頃は京都アニメーション作品などをきっかけに深夜アニメがかなりの勢いを見せており、筆者もしっかりその道にはまり、当時はAMラジオでのアニメ・声優関連の番組が楽しみでした(ラジオ自体は高校生の頃から)
ニッポン放送では吉田アナウンサー(よっぴー)と声優の田中理恵さん、文化放送では鷲崎健(ワッシー)さんと浅野真澄さん、それぞれの局で名コンビが番組をやっていた頃です。
(この頃のアニメイベント、司会はよっぴーかワッシーのほぼ二択だったなぁ・・・)
しかし、地上波放送以上に「野球」が絶対なのがAMラジオの世界。
30分延長、1時間延長なんて上限はありませんでした
基本的に「試合終了まで放送」
1時間遅れはまだ良い方で、2時間遅れなんていうことも。
これがまた楽しみにしてたゲストの時に限って、野球が長引く・・・
更に声優さんやアイドルが持っている短い尺の番組(事前録音)はこういう時、容赦なく「今日の放送はお休みです」となります。
シーズン中、予定回数の半分も流されなかった番組とかもあるのではないでしょうか。
(元々、中継延長の放送枠調整用という役割の番組でもあるのでしょうが)
かくして、子供の頃の思い出に加えて、ラジオでの苦い思い出も重なり、筆者にとっては「野球=自分の楽しみを奪う憎いコンテンツ」という意識が拭えなくなったわけです。
(最近はそれなりに楽しめるようにもなりましたが)
最後に
野球の放送が地上波から激減し、ラジオでもナイター中継をしない局まで出てきて、当時からはかなり事情も変わっています。
声優さんが特定の球団のファンであることを公表してたり、むしろ自分より若い世代だと、アニメやマンガと「野球」は親和性の高いコンテンツにすらなっている気がします。
結局のところ必要だったのは「住み分け」だったのでしょうね、スマホどころか家庭用PCすら珍しい時代には技術的に不可能ではありましたが。
よく「多数決は遺恨を残すことになる」と言われますが、多数派だからと度が過ぎるといつか数の優位を失った時に手痛いしっぺ返しを食らうことになると、わが身にも言い聞かせたいところであります。